1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児気管支喘息の病態進行に対する好中球の関与に関する研究
Project/Area Number |
09670814
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
友田 隆士 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (20207632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉繁 隆信 高知医科大学, 医学部, 教授 (50117032)
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Keywords | 気管支喘息 / 好中球 / 活性酸素 / 抗原特異的IgG |
Research Abstract |
気管支喘息は慢性の気道炎症がその本態であり、主なEffector細胞は、好酸球である。一方、喘息患者の肺洗浄液中には、好酸球以外にも多数の好中球が含まれ、気道へ浸潤した好中球が気管支喘息の病態に何らかの作用をすることが示唆される。しかし、気管支喘息は繰り返す抗原曝露により増悪を繰り返すことが知られているが、好中球が抗原に対してどのような反応をするのかはまだ知られていない。我々は、好中球が原因となる組織障害の機序として、活性酸素の産生に着目して研究を行った。正常児および喘息患児の末梢好中球に喘息の原因である特異抗原を加えた系に、更に、PMAやFMLPで刺激して活性酸素の産生を検討した。その結果、抗原刺激や抗原+FMLPの刺激では活性酸素の産生は起こらなかったが、抗原を加えた後に、PMAで刺線した時、喘息患児のみに活性酸素の産生増大がみられた。この現象は、正常児ではみられず、また、喘息患児でも、原因抗原以外の抗原では見られなかった事から、抗原特異的な反応と考えられたため、このメカニズムについて検討を行った。好中球にはリンパ球のように、遺伝子再構築のようなメカニズムは存在しないため膜表面のFcγレセプターに注目した。これを証明するために、Fcγレセプターと結合する抗原特異的IgG抗体を検出し、このIgG抗体が好中球表面に結合しているかどうかを検討した。その結果、喘息患児血中には抗原特異的IgG抗体が有意に高濃度に存在することが判明した。更に、好中球表面に抗原特異的IgGが結合していることを証明するために、蛍光標識した抗原を患者の好中球と反応させた後、洗浄したところ、正常児の好中球に変化はなく、患児の好中球表面に蛍光が観察された。以上の検討から気管支喘息患児においては、好中球は抗原特異的IgG抗体を介して、抗原によりprimingをうけ、活性酸素を産生し易くなることが判明した。今後、このprimingを受けた好中球が局所へ浸潤してゆくメカニズムや、生体内でどのような刺激に反応して、活性酸素を産生するかなどについて検討を進めいていく予定である。
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