1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児難治性てんかん、特に、乳児重症ミオクロニ-てんかんの遺伝と脳神経成熟障害
Project/Area Number |
09670819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
泉 達郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (80119891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 知己 大分医科大学, 医学部, 助手 (80264349)
福島 直喜 大分医科大学, 医学部, 助手 (60218914)
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Keywords | 重症乳児ミオクロニ-てんかん / 母系痙攣素因 / HLA-DR抗原 / 遺伝 |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニ-てんかん(SME)は、1978年Dravetらが最初に報告した特異なてんかん症候群である。てんかんや熱性痙攣の家族歴が高率であることが指摘されているが、家族のてんかん分類や発作型が不明のことが多く、より精密な遺伝解析はなされていない。SME遺伝解析の予備研究として、てんかんや熱性痙攣の家族歴を持つSME患者3家系4例とそれぞれの両親のHLA抗原を検討した。 対象:SMEの定義はDravetらの報告に従い、類縁疾患群を鑑別除外した。SME辺縁郡は臨床像がSMEに酷似するが、経過中にミオクロニ-発作やミオクローヌスを伴う欠伸発作、ミオクローヌスの存在が確認しえなかった症例と定義した。家族のてんかん分類や発作型はそれぞれの主治医からの報告と、一部は直接の問診、診断によった。 方法:HLA抗原はNIHのリンパ球細胞障害実験を用いた。測定した各抗原の内訳はA18種、B33種、C7種、DR14種の合計72種で、HLA抗原の名称は第11回国際組織適合性ワークショップによった。尚、HLA抗原やてんかん分類の家族調査は両親に説明し、同意、許可の下で行った。 結果及び考察:1993年4月より1997年12月までに3家系4例のSME(2例)及びその辺縁群(2例)を診察した。家族の痙攣素因は5例のてんかん、うち3例は発熱時のてんかん重積症で死亡、その1例は第2家系同胞SME、他の2例は全身強直間代性痙攣(gm)で、知能障害を伴う。1例は熱性痙攣複合型(FCc)で、1例は熱性痙攣単純型であった。3家系ともに母方に遺伝素因を認め、第1、2家系では母が、それぞれ、gm、FCcであった。患児と母親におけるHLA抗原はA24(9)が全例に認められたが、HLA抗原頻度では日本人対照と比較し、その出現率に有意差はなかった(Pc>0.05)。HLAを支配する遺伝子は第6番染色体短腕に位置しているが、SMEとHLA抗原との関連性は乏しいと思われる。今回SMEにおける症例すべてに母系遺伝素因を認めたが、その意義の検討には更に症例の追加が必要と思われた。
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