1999 Fiscal Year Annual Research Report
小児難治性てんかん、特に、乳児重症ミオクロニーてんかんの遺伝と脳神経成熟障害
Project/Area Number |
09670819
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
泉 達郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (80119891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 圭右 国立療養所八雲病院, 小児科, 厚生技官 小児科医師 (40295176)
今井 一秀 大分医科大学, 医学部, 助手 (50295177)
前田 知己 大分医科大学, 医学部, 助手 (80264349)
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Keywords | 脳神経細胞の成長と分化 / ミルクガングリオシド / 神経細胞成長因子 / 感染免疫 |
Research Abstract |
ガングリオシド(ggl)はシアル酸を含む糖脂質の一種で、神経組織に高濃度存在し、神経細胞の成長や分化、病理、ホルモンや、ウィルス、細菌毒の受容体として重要な働きをしていることが知られている。 一方、母乳中の糖脂質の研究は散見されるが、gglに関しては少なく、いくつかの議論がある。 母乳や調製粉乳、牛乳中のgglを検討し、脳神経細胞の成長分化への影響、新生児や乳幼児期の感染防止作用への関与の可能性を検討した。 対象:満期正常分娩の母親より、文書にて協力同意を得て、分娩後2日目より7週目まで、午後の授乳時に児への授乳後に2-3ml搾乳した母乳を分析した。調製粉乳は市販のものを指示に従って調乳して使用した。牛乳は市販のものをそのまま分析した。 方法:母乳、調製粉乳、牛乳ともに1mlより、以前に報告した方法に従い、gglを抽出後、HPTLC展開、レゾルシノール染色とdensitometryによって分析した。 結果:母乳では6種類のggl、GM3、GD3、GX1、GX2、GX3、GX4、が検出された。GX1-GX4は従来の報告には記載がなく、予備的検討では抗GAI抗体には反応しないことよりC-系gglかシアリルラクトンの一種ではないかと考えている。母乳に経時的変が認められ、GD3が初乳の主要成分(GD3、42-56%、GM3、2.2-6.5%)をなし、GM3は分娩後8日目より、急速に増加し(GD3、32.2%、GM3、27.8%)、母乳を分析した分娩後7週まで徐々に増加傾向を示した(GM3/GD3、0.84-2.67)。調製粉乳や牛乳のgglは母乳の1/2程度しか含有されていなかった。GD3は母乳の初乳と後期乳、調整粉乳、牛乳ではそれぞれ、49.0、32.2、72.4-86.6、61.0%で、GM3は母乳初乳や調製粉乳、牛乳ではわずかしか含有されておらず、それぞれ、3.3、0.4-2.6、2.8%であった。調製粉乳と牛乳にはGX1とGX2しか含有されていなかった。 考察:ミルクの総gglの組成が神経上皮細胞由来腫瘍で最も未熟な原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)に類似しており、脳神経細胞の成長分化への関与の可能性を示唆した。一方、母乳と調製分乳、牛乳のggl組成の相異は感染予防や免疫、アレルギー、神経系や身体の成長への影響等なんらかの生物学的重要性があることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Pan XL,Izumi T: "Ganglioside expression in childhood neuroepithelial tumor."Brain Dev. 22(in press). (2000)
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[Publications] Pan XL,Izumi T: "Variation of the ganglioside composition of human milk,cpw's milk and infant formulas."Early Hum Develop. 57. 25-31 (2000)
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[Publications] Pan XL,Izumi T: "Chronological changes in the ganglioside composition of human milk during lactation."Early Hum Develop. 55. 1-8 (1999)
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[Publications] Ikawa K,Eshima N,Morikawa N,Kawashima H,Izumi T,Takeyama M.: "Influence of concomitant anticonvulsants on serum concentrations of clonazepam in epileptic subjects:An age-and dose-effect linear regression model analysis."Pharm Pharmacol Commun.. 5. 307-310 (1999)
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[Publications] Ikawa K,Morikawa N,Eshima N,Izumi T,Takayama M: "Evaluation of clonazepam pharmakokinetics in epileptic children receiving monotherapy or polytherapy and the influences of concomitant antiepileptic drugs on the serum concentration of clonazepam"Jpn Hosp Pharm.. 24. 130-135 (1999)
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[Publications] Izumi T,Takeshige H,Arai T,Sugama M,Mizushima M,Fukuyama Y,Mabuchi G: "Prospective study of nesidioblastosis in newborns and infants:hypoglycemic seizures,epileptogenesis and the significance of the C-peptide suppression test in pancreatectomy."Acta Pediat Jpn. 39. 10-17 (1997)
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[Publications] Izumi T,et al: "New developments in child neurology"Perat MV. 777 (1998)