1998 Fiscal Year Annual Research Report
腎プロスタノイド受容体発現調節に連関したGTP結合蛋白質の解析
Project/Area Number |
09670824
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 順造 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20171217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 重雄 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00274960)
鈴木 仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045682)
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Keywords | GTP結合蛋白質 / PAF / トロンボキサンA_2 / カルシウム / 血小板 / ネフローゼ症候群 |
Research Abstract |
小児ネフローゼ症候群における腎のトロンボキサン(TX)A2代謝における血小板活性化因子(platelet activating factor:PAF)の役割についてについて検討した。 ネフローゼ症候群患児を発症期(10名,平均年齢5.3歳)、再発期(15名,平均年齢10.2歳)、寛解期(14名,平均年齢8.7歳)に分け、さらに正常小児(20名,平均年齢11.1歳)を対照とした。それぞれの期において、採血および蓄尿し、血中・尿中のTXB2と11-dehydro TXB2を測定するとともに、血液より血小板をとりだし、PAFで血小板を刺激して血小板内のカルシウム濃度の変化を観察した。 その結果、 1) ネフローゼ発症期および再発期の尿中TXB2と11-dehydro TXB2排泄は寛解期や対照に比し有意に増加していた。 2) ネフローゼ発症期の血中11-dehydro TXB2は寛解期や対照に比し有意に高値を呈し、TXB2は高値傾向を示していた。 3) 無刺激下でのネフローゼの発症期、再発期の血小板内カルシウム濃度は寛解期や対照に比して有意差はなかった。TXA2アナログ刺激にて対照に比し有意に増加した。 4) PAF刺激下でのネフローゼの発症期、再発期の血小板内カルシウム動員は寛解期や対照に比じて有意に少なかった。 このことはネフローゼ症候群ではTXA2細胞内情報伝達が活性化し、PAF遊離に対する血小板の脱感作を示唆する。今後、この活性化と脱感作の意義および発生機序にって検討する必要があるものと思われる。
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