1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児の骨髄異形成症候群(MDS)の細胞学的特性に関する研究
Project/Area Number |
09670830
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
江口 光興 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (60020799)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / MDS / 電子顕微鏡 / ペルオキシダーゼ / 巨核芽球 / ダウン症候群 / 芽球 / アポトーシス |
Research Abstract |
小児および成人のMDSにおける各種血液細胞について電子顕微鏡学的に比較検討を行った。今年度は小児19例、成人7例、合計26例を対象とした。病型別ではRefractory anemiaは6例、RAEBは8例、EAEB-Tは10例、CMMoLは1例、分類不能1例であった。電子顕微鏡形態学的にみると、小児のMDSでは、骨髄の顆粒球系細胞はnuclear pocketを持つ細胞の頻度が高く、成人ではこのような細胞の頻度は少なかった。小児、成人共に、顆粒球系細胞の異常としては、顆粒の少ない細胞、淡い濃度の異常顆粒を持つ細胞などが見られた。アウエル小体は頻度が少なかったが、アウエル小体の不全型を思わせる、小型の棍棒状の顆粒は時にみられた。赤芽球系細胞ではcongenital dyserythropoietic anemia I型でみられるようなスポンジ様の核を持つものの頻度が高く、特に、予後不良例に多くみられた。ミトコンドリアは奇異な形に変形しているものも見られ、MDSのミトコンドリアの変化た担鉄ミトコンドリアのみでないことが分かった。血小板ペルオキシダーゼ反応をみると、small megakaryocyteの他に、芽球でも、これが陽性のものの頻度が高く、巨核球系の芽球が増加する症例が多いことも分かった。特に、小児のダウン症候群に併発する症例にこの傾向が強かった。アポトーシスの形態を有する細胞はまれであった。今年度の研究では、光学顕微鏡では知りえないMDSの細胞の異常のいくつかが電子顕微鏡的形態学、細胞化学で明らかとなった。
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[Publications] 杉田憲一: "小児骨髄異形成症候群(MDS)の治療経験" 小児科診療. 60(8). 1371-1374 (1997)
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[Publications] Komatsu N.: "In vitro development of erythroid and megakaryocytic cells from UT-7 subline UT-7/GM." Blood. 89(11). 4021-4033 (1997)
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[Publications] 江口光興: "骨髄異形成症候群の項 今日の小児治療指針11版、矢田純一他編、分担執筆 p373" 医学書院, 688 (1997)