Research Abstract |
Zonisamide(ZNS)は,腸管からの吸収が遅く,血中半減期が長いため,1日1回の投与でも血中濃度の日内変動が少なく,小児の部分発作に対する効果が優れていることを報告してきた.しかし,このZNS単剤治療が無効な症例にcarbamazepine(CBZ)を併用すると,ZNSの血中濃度が低下することも明らかにした.今回は,ZNS単剤1日1回投与法が無効な症例にclonazepam(CZP)を併用し,両剤併用時の血中濃度の相互作用と,CZP併用後の臨床効果を検討した. 対象は,ZNS単剤1日1回投与法が無効で,CZPを併用した3〜15歳(平均10歳1か月)の潜因性局在関連性てんかんの患児10例で,CZP併用時のZNSの投与量は10.6±3.1mg/kg/day,CZPの維持量は0.050±0.006mg/kg/dayである.CZPは1日朝夕2回の分服で,血中濃度の測定はCZP併用前後の定常状態で行い,個々の採血はZNSの血中濃度が日内で最低および最高濃度となる,朝服薬直前と服薬後4時間に行った. 対象10例のCZP併用前後のZNS血中濃度は,日内の最低濃度が29.9±8.7μg/mlと28.4±8.5μg/ml,最高濃度が36.8±8.2μg/mlと35.7±9.2μg/mlで,CZP併用前後でZNS血中濃度に変化はみられなかった.また,併用したCZP血中濃度は,朝服薬直前の日内の最低濃度が17.0±2.9ng/ml,最高濃度に近い朝服薬後4時間の測定値が21.3±2.9ng/mlであった.臨床効果は,CZP併用後1年以上の観察期間中,10例中7例では発作が完全に抑制されているが,3例では併用後も発作の抑制が困難であった. 以上,ZNSの単剤治療が無効な部分発作を示す症例にCZPを併用したが,CZPを併用後ZNS血中濃度に変化はみられなかった.また,併用したCZP血中濃度も,他のCZP単剤治療の症例の血中濃度と等しく,両薬物間に血中濃度面での相互作用は認められなかった.しかし,CZPを併用後,なお約1/3の症例で発作の抑制が困難であった.
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