1997 Fiscal Year Annual Research Report
ムコ多糖症モデルマウスを用いた中枢神経障害に対する遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09670837
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (60160595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (90266619)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (90167255)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 教授 (50056909)
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Keywords | Sly病 / ムコ多糖症 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
Sly病はムコ多糖症の1つでありβ-gluduronidaseの欠損により種々の臨床症状を呈する疾患である。我々は本症の遺伝子治療をモデルマウスを用いて検討している。本年度はSly病の中枢神経障害の治療をめざしてミクログリア細胞の移植を行った。ミクログリア細胞は藤田保健衛生大学沢田博士と国立精神神経センター高坂博士より御供与いただいた細胞(Ra-2細胞、MG5細胞)を用いた。投与方法としては静脈内投与、頸動脈内投与、脳室内投与を行った。生着したミクログリア細胞を同定するため投与前に細胞を蛍光ラベルした。まずは生着出来るか否かを検討するため正常のマウスを用いて実験を行った。しかしながら上記の細胞はどの投与経路においても脳への生着は確認できなかった。これら細胞の主な生着組織は肝臓、脾臓であった。つぎに正常なマウスの骨髄を採取しL929細胞のconditioning mediumを用いて培養しCD11b/CD18陽性細胞を採取した。この細胞はミクログリア同様、貧食系の細胞集団である。この細胞も同様に静脈内投与したところ、やはり脳内への生着は認められず肝臓、脾臓に生着した。以上のように中枢神経系への細胞移植は不成功に終わったがSly病の主な罹患臓器が肝臓、脾臓であることを考えるとCD11b/CD18陽性細胞が肝臓脾臓への遺伝子治療の標的細胞になり得るのではと検討を加えた。正常マウスより培養したCD11b/CD18陽性細胞をSly病モデルマウスに経静脈的に投与した。1週後に組織を取り出し酵素活性を検討したところ酵素活性の上昇が認められた。組織の凍結切片を作成し酵素の活性染色を行うと散在性に活性陽性細胞が認められた。病理学的検討も加えたが残念ながらムコ多糖の蓄積を改善するまでには至らなかった。これは生着細胞の数が少ないためと思われた。またCD11b/CD18陽性細胞への遺伝子導入を検討したが少なくともアデノウイルスでは可能であった。しかしながらアデノウイルスでは免疫学的問題があるため現在アデノ関連ウイルスを用いて遺伝子導入を検討中である。また、より多数のCD11b/CD18陽性細胞を移植して病理学的改善度も検討中である。
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[Publications] Ohashi T.,Eto Y.,et al.: "Efficient and persistent expression of b-glucuronidase gene in CD34_+ cells from・・・" J.Haematology. (in press). (1998)
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[Publications] Ohashi T.,Eto Y.,et al.: "Adenoviral-mediated gene transfer and expression of human beta-glucuronidase gene・・・" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 94. 1287-1292 (1997)
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[Publications] Ohashi T.,Watabe K.,et al.: "Gene therapy for metachromatic leukodysprophy." Acta Paediatr.Jap.38. 193-201 (1996)