1998 Fiscal Year Annual Research Report
ムコ多糖症モデルマウスを用いた中枢神経障害に対する遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09670837
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (60160595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (90266619)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (90167255)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 教授 (50056909)
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Keywords | Sly病(Sly disease) / マクロファージ / レトロウイルスベクター / 遺伝子治療 / β-glucuronidase |
Research Abstract |
【目的】ムコ多糖症VII型(Sly病)はライソゾーム酵素の1つであるβ-glucuronidase(HBG)の遺伝的欠損により、様々な臨床症状を呈する疾患である。本症にはモデルマウスが存在し骨髄移植療法、酵素補充療法、遺伝子治療が試みられている。今回、我々はSly病に対する治療法としてマクロファージ移植の有用性および遺伝子治療の標的細胞としての有用性を検討した。 【方法】正常マウスより骨髄細胞を採取し、L929細胞conditoning mediumを含む培養液にて培養した。培養2週後に様々な抗体で染色しマクロファージであることを確認した。この細胞をSly病モデルマウスの尾静脈より投与し1週後に各組織におけるHBGの活性を検討した。また凍結切片を作成し移植された細胞の存在の組織学的に検討した。トルイジンブルーにて組織染色しムコ多糖の蓄積の改善度を検討した。生化学的にも肝臓、脾臓のムコ多糖を定量した。またSly病モデルマウスより骨髄を採取しレトロウイルスベクターにてHBG遺伝子を導入後同様の実験を行った。再投与の検討もおこなった。同様の方法でヒトマクロファージへの遺伝子導入を試みた。 【結果、考察】正常マクロファージをSly病モデルマウスに移植し、1週後の肝臓、脾臓におけるHBGの酵素活性を測定した。HBGの酵素活性は肝臓、脾臓においてSly病マウスより上昇し、活性組織染色でも活性陽性細胞すなわち移植された細胞は組織中に散在していた。ムコ多糖の蓄積の改善度を病理学的に検討したが1週の時点ではほとんど改善は認められなかったが5週後では著名に改善しており、生化学的にムコ多糖の蓄積は減少していた。レトロウイルスにてHBG遺伝子を導入した場合の同様の検討でも5週後でムコ多糖の蓄積は組織学的にも生化学的にも減少しており、また2回目の投与も可能であった。ヒトのマクロファージにも同様の方法で遺伝子導入可能であった。以上より本細胞は遺伝子治療を行う上での標的細胞になりうると思われた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ohashi T,et al.: "Efficient and persistent expression of β-glucuronidase gene in CD34+ cells from human umbilical cord blood by retroviral vector." Eur J Haematol. 61. 235-239 (1998)
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[Publications] Yokoo T,Ohashi T,et al.: "Inflamed site-specific gene delivery using bone marrow-derived CD11b+CD18+Vehicle cells in mice." Hum.Gene Ther.9. 17381-17388 (1998)
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[Publications] Ida H,Eto Y,et al.: "Severa skeketal complications in Japanese patients with type 1 Gaucher disease." J Inher Matab Dis. 22. 63-73 (1999)
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[Publications] Ida H,Rennert OM,et al.: "Type 1 Gaucher Disease:Phenotypic Expression and Natural History in Japanese Patients." Blood Cells,Molecules,and Disease. 24・5. 73-81 (1998)
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[Publications] Kurosawa K.,Eto Y.et al.: "Prevalence of arylsulphatase A mutations in 11 Japanese patients with metachromatic leukodystrophy:Identification of two novel mutations." J.Inher.Metab.Dis.21. 781-782 (1998)