2000 Fiscal Year Annual Research Report
小児中枢神経感染症の臨床・免疫学的研究:神経学的後遺症発生機序の解明へ向けて
Project/Area Number |
09670849
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 周平 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10278525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 享 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00211128)
玉井 浩 大阪医科大学, 医学部, 教授 (30179874)
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Keywords | 中枢神経感染症 / 髄液 / ネオプテリン / ビオプテリン / 一酸化窒素 / 後遺症 / 小児 |
Research Abstract |
脳炎・髄膜炎などの重症中枢神経感染症における後遺症発生に関して、病原体側の因子だけでなく、むしろ宿主の免疫応答による神経細胞ダメージがその障害発生メカニズムとして注目されている。我々は、予後を左右する免疫応答系の指標として、ネオプテリン(Ne)・ビオプテリン(BH4)・一酸化窒素(NO)の髄液中濃度を測定していった。測定できたサンプル数は、脳炎6例、細菌性髄膜炎7例、無菌性髄膜炎34例、対照群66例である。対照が小児であり、少量サンプルでの測定法確立を目指した。Ne・BH4はHPLC-蛍光検出器を用い、NOは化学発光を用い測定した。その結果、対照群ではNe:11.3±20.0pmol/ml(平均±標準偏差)、BH4:16.8±11.0pmol/ml、NO:7.7±10.7nmol/mlであったのに対し、脳炎群ではNe:150±230、BH4:26.3±21.7、NO:20.5±24.5。また、細菌性髄膜炎群ではNe:129±113、BH4:72.8±49.3、NO:7.5±3.4。無菌性髄膜炎群ではNe:32.3±68.0、BH4:21.2±14.8、NO:7.9±8.9であった。以上のように、Neは脳炎および細菌性髄膜炎において、BH4は細菌性髄膜炎において、そしてNOは脳炎において高値を示した。無菌性髄膜炎では3つのパラメーターはほとんど上昇していなかった。特に脳炎・細菌性髄膜炎の重度中枢神経感染症においてNeが著明な高値を示しており、これら病態における細胞性免疫の活性化を反映していると考えられる。また予後との関連を見ると、髄液NOが急性期から高値であった脳炎症例はすべて重度後遺症をきたしており、神経障害発生にこのラジカルが関与している可能性が示唆された。
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