1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670853
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10126534)
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Keywords | 糸球体基底膜菲薄病 / Thinbasement membrane disease / TMBD / Alport症候群 / 学校検尿 / 無症候性血尿 / IV型コラーゲンα鎖 / 蛍光抗体法 |
Research Abstract |
今年度はThin basement membrane disease(以下TBMD)の臨床病理学的に検討し、以下の結果を得た。 対象と方法 1977年から1996年までの19年間に当科で腎生検を行った825症例中TBMDと診断した13例(腎生検例の1.6%)である。TBMDとの診断は,電子顕微鏡上2個以上の糸球体が観察しえた症例で,Osawa et al.の方法で腎糸球体基底膜が200nm以下の非薄化を50%以上の基底膜にみられる,いわゆるDifruse型のものとした。組織の検討は,従来の光学顕微鏡,電子顕微鏡,蛍光抗体法所見に加えて,酵素抗体法でIV型コラーゲンα鎖サプクラス蛋白の発現も検討した。 結果 性別は,女性7例,男性6例であった。発見年齢は,3.4歳から11.2歳で平均6.7±2.2歳で,その動機は,学校検尿が約半数にあたる6例と最も多かったが,肉眼的血尿で発見された例が2例みられた。家族歴で,尿異常は女性の2例,男性の4例にみられた。尿中赤血球形態を観察しえた12例中11例がdysmorphic patternであった。平均観察期間の6.1年で腎機能の低下を認めた症例はなかったが,酵素抗体法で糸球体係蹄壁にIV型コラーゲンα3・4・5鎖蛋白の発現の減弱がみられた男性の1症例では,蛋白尿の増加が見られた。 結論および考察 TBMDの診断・経過は慎重に対応する必要があり、IV型コラーゲンα鎖蛋白の検索を行う事はTBMDの診断および遺伝性進行性腎疾患であるAlport症候群との鑑別に有用と考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 奥田朱美、谷澤隆邦、他: "一過性に尿中ポドサイトの著増を認めたが,自然寛解したネフローゼ症候群と思われる1例" 腎と透析. 44. 117-119 (1998)
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[Publications] 谷澤隆邦: "進行性逆流性腎症の臨床病理学的増悪因子" 兵庫医科大学医学会誌. 22. 203-209 (1997)
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[Publications] 前 寛、谷澤隆邦、他: "Thin basement membrane diseaseの臨床病理学的検討" 日本小児腎不全学会誌. 11. 35-39 (1998)
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[Publications] 前 寛、谷澤隆邦: "ABO型不適合生体腎移植の3例" 日本小児腎臓病学会誌. 18. 234-237 (1998)
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[Publications] 谷澤隆邦: "小児の検査成績の考え方-数字に振り回されないために 尿素窒素、尿酸、クレアチン、クレアチニン" 小児内科. 30増刊号. 196-204 (1998)
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[Publications] 谷澤隆邦: "学校における腎疾患学童生徒の管理 今日の治療指針1999" 多賀須幸男、尾形悦郎総編集、医学書院、東京. 822-824 (1998)
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[Publications] 谷澤隆邦(分担): "慢性腎不全chronic renal fallure(p138-143)" 小児泌尿器科学書(生駒文彦監修)金原出版、東京, 483 (1998)
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[Publications] 谷澤隆邦,川口 悟(分担): "2.急性腎盂腎炎(pp96-99),4.腎不全と原発性糸球体疾患(pp105-113)" 小児腎臓核医学(島田憲次,谷澤隆邦編集)メディカルレビュー社,大阪, 123 (1998)