1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09670853
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10126534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綾部 信彦 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (50299103)
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Keywords | IgA腎症 / IL-6 / 予後 |
Research Abstract |
小児IgA腎症12例を対象に腎組織障害と腎組織IL-6および尿中IL-6について検討した。 1)対象と方法:発症年齢:4.7〜14.9歳で平均10.9歳。男児6例、女児6例。発見動機は学校検尿10例、肉眼的血尿が2例である。生検までの観察期間は平均l.49年。血清クレアチニンは平均0.65mg/dl、一日尿蛋白の平均が1.03g/m^2/dayで5例が1g/m^2/日以上の高度蛋白尿を呈していた。 腎組織は脱パラフィン後、間接法にてモノクローナルマウス抗ヒトIL-6抗体を反応させた。尿中IL-6の測定はCLEIA法にて測定した。光顕は重松のGrade-Stage分類にて糸球体スコア(grade(Gg),stage(Sg))、尿細管間質スコアを求め評価した。 2)結果:尿中IL-6は平均33.01pg/mgであった。5例で増加をみとめ、特に肉眼的血尿を呈した症例で著明に上昇していた。組織IL-6スコアは糸球体grade,stageいずれとも相関を認めた。主に急性病変をしめす糸球体Gradeスコア(Gg)は糸球体IL-6スコアと相関がつよく(rs=0.713)、慢性病変をしめす糸球体Stageスコア(Sg)は尿細管間質IL-6スコアとより強く有意な正の相関がでていた(rs=0.818)。IL-6全体としてはgradeよりもstageのほうがより強い相関が認められた。尿細管間質スコア(Ti)とは糸球体IL-6スコア、尿細管間質IL-6スコアどちらとも相関がみられ、特に尿細管間質IL-6スコアでより強く相関が見られていた(rs=0.804)。一日尿蛋白との比較では糸球体IL-6スコア、尿細管間質IL-6スコアともに相関がみられた。尿中IL-6との比較ではあきらかな相関をみとめてなかった。 3)結論:組織内IL-6はとくに慢性変化を示す光顕所見と強く相関がみられ、組織IL-6は急性期が多い小児IgA腎症において予後の判断、とくに慢性経過を辿る症例の鑑別に有用であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "巻頭言「小児腎尿路疾患と集団検尿システム」"腎と透析. 46. 317-318 (1999)
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[Publications] 谷澤隆邦,原 正則: "尿ポドサイト(糸球体上皮細胞)"Medical Technology. 27. 191-192 (1999)
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[Publications] 前 寛,谷澤隆邦、他: "胎児超音波検査で発現された腎尿路異常症例の臨床的検討"日本小児腎不全学会誌. 19. 131-134 (1999)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "膀胱尿管逆流とは?"小児科診療Q&A(伊藤 拓、吉川徳茂編集,医薬ジャーナル社、東京). 121-123 (1999)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "慢性腎不全"小児腎疾患Q&A,(六法出版). 29. 388-389 (1999)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "学校における腎疾患学童生徒の管理"今日の治療指針1999-(多賀須幸男、尾形悦郎総編集,医学書院、東京). 822-824 (1999)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "ナトリウム(Na)"今日の小児診断指針第3版、(前川喜平、白木和夫、安次嶺 馨編集,医学書院、東京). 320-322 (1999)