臍帯血幹細胞移植の実用化と多能性造血幹細胞の鈍化及び増幅に関する研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09670855
• Research Institution: Kurume University
• Principal Investigator: 安藤 昭和 久留米大学, 医学部, 助手 (80222777)
• Keywords: 臍帯血 / 臍帯血バンク / 未熟児

Research Abstract

(1) 臍帯血採取法
児娩出後、胎盤娩出前に臍帯静脈を直接穿刺採血したシリンジ法では、採血量は72.7±38.9ml、有核細胞数9.7±5.9×10^8、単核球数3.5±2.4×10^8であった。また、胎盤娩出後に臍帯動静脈にカテーテルを挿入し動脈側より抗凝固剤含有の生理食塩水を還流しながら静脈側より臍帯血を採取した還流法では、還流法では有核細胞数1,6±1.4×10^8、単核球数0.8±0.5×10^8であった。いずれの方法も採血量、採取細胞数ともに個体差が大きかった。シリンジ法で採取した胎盤を還流しても殆ど細胞は回収できず、還流法は方法も煩雑で、臍帯血バンク導入に当っての臍帯血採取法として還流法は適していない。
(2) 臍帯血幹細胞の分離法
臍帯血バシクの導入を考えれば、赤血球除去が必要で、多くの臍帯血を保存する必要もあり、省スンースのために幹細胞の分離法を検討する必要がある。比重遠心法と沈降法の差を比較検討した。有核細胞回収率、単核球回収率、CFU-GM回収率はそれぞれ比重法で27.7±7.0%,56.6±13.0%,42.2±30.4%、沈降法で62.7±21.4%,56.6±22.4%,76.4±61.3%であった。単核球回収率、CFU一GM回収率ともに分離法間に統計学的な有意差は認めなかった。比重法では多核球の混入が少なく凍結保存の省スペースにつながるが方法がやや煩雑である。沈降法は勘弁ではあり多核球の混入が多いものの、臍帯血レベルでは凍結保存の際の量に問題はなかった。
(3) 今回在胎24週の未熟児からの臍帯血採取を施行した。採取料は24mlでCD34陽性細胞は1.64%であった。成熟児でのCD34陽性細胞は0.31±0.20%であった。未熟児では臍帯血採取量は少ないが造血幹細胞は高率に含まれていた。