1998 Fiscal Year Annual Research Report
発達期脳障害における脳幹部モノアミン系神経病変の検討
Project/Area Number |
09670860
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
伊藤 昌弘 (財)東京都神経科学総合研究所, 臨床神経病理学研究部門, 研究員 (90291939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 雅晴 (財)東京都神経科学総合研究所, 臨床神経病理学研究部門(財)東京都神経科学総合研, 主任研究員 (00280777)
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Keywords | 発達 / 脳幹 / カテコールアミン / セロトニン / 聴覚伝達路 / エンケファリン / 点頭てんかん / 滑脳症 |
Research Abstract |
点頭てんかんの責任病巣としては、大脳皮質病変を重視する立場と、脳幹の関与に注目する考えがあり、論議が続けられている。そこで、モノアミン系神経を中心に、点頭てんかんでの脳幹部病変を再評価した。対象は、点頭てんかんでけいれん発作が発症し、その後レノックス症候群に移行、抗けいれん剤内服にもかかわらず強直発作が継続してみられた、滑脳症4例と新生児仮死後遺症4例。脳幹部連続切片において、Tyrosine hydroxylase(TH)、Tryptophan hydroxylase(TrH)、脳幹部聴覚伝導路の指標であるParvalbumin(PV)、さらにはMethionine-Enkephalin(ME)、SubstanceP(SP)に対する抗体を用いた免疫組織化学染色を施行し,年齢相当の正常対照6例と点頭てんかんの既往を有さない新生児仮死後遺症6例での解析結果と比較検討した。点頭てんかん既往例では、全例でTH陽性神経細胞が延髄背側迷走神経核で減少しており、滑脳症例では、加えて中脳中心灰白質や青斑核でもTH陽性細胞の減少がみられた。TrH陽性神経細胞は、中脳・橋では比較的保たれていたが、点頭てんかん既往例の多くの例において延髄被蓋外側での減少が認められた。PV染色では、滑脳症例を中心に聴覚伝導路の描出不良がみられた。これらの異常は、新生児仮死後遺症の疾患対照例では認められなかった。一方、抗ME染色と抗SP染色では、黒質、橋被蓋、三叉神経核などが描出されたが、点頭てんかん既往例で三叉神経核の染色性が低下していた。抗SP染色では、各群間において、有意の差異を認めなかった。本検討は、あくまでも、点頭てんかんの既往を有する小児剖検例での解析ではあるが、各種の誘発電位検査や終夜唾眠ポリグラフを用いた検討により、点頭てんかん患児においては脳幹部神経の機能障害が指摘されており、今回見出されたTH、PV、ME陽性構造の表出異常も、点頭てんかんの発症と脳幹部神経系の障害との関連性を示唆するものと考えられた(Epilepsia in press)。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 伊藤昌弘,早川恵子: "Acyclovir錠の服用で精神神経症状が出現した1女児例" 脳て発達(日本小児神経学会機関誌). 30・4. 328-333 (1998)
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[Publications] 林雅晴,伊藤昌弘,森松泰雄 他: "重症心身障害児・着剖検脳における後床・後床校病変" 日本重症心身障害学会誌. 23・2. 72-76 (1998)
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[Publications] Hayashi M,Arai N,Murakami T et al.: "A study of cell death in Wadnig Hoffmann disease brain" Neuro science Letters. 243・1-3. 117-120 (1998)
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[Publications] Hayashi M,Kurota K,Suzuki K et al.: "Mcgelcncepholy, hydrocepholcs and cortfcol dysplosio in sauere dwatism mimcking lepreduvirism" Acta Neuro pothologico. 95・4. 431-436 (1998)
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[Publications] Hayashi M,Itoh M,Araki S et al.: "A Neuro pothological study on the brainftem lesion in infantile spasur" Epilepsio. (in press).