1997 Fiscal Year Annual Research Report
難治性アレルギー性疾患における抗IgE受容体自己抗体の研究
Project/Area Number |
09670881
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秀 道広 広島大学, 医学部, 助手 (50284188)
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Keywords | アレルギー / 蕁麻疹 / アトピー性皮膚炎 / アレルギー性鼻炎 / 自己抗体 / ヒスタミン / マスト細胞 |
Research Abstract |
本研究では、I型アレルギーの関与する疾患におけるヒスタミン遊離性自己抗体の存在を解析するため、慢性蕁麻疹(111人)、アレルギー性鼻炎(23人)、アトピー性皮膚炎(66人)および健常人(65人)の各々について、自己血清による皮内テストを施行した。そのうち明らかな反応を示した人数は、54人(48.6%)、0人(0%)、3人(4.5%)、2人(3.1%)であった。さらに蕁麻疹(26人)、およびアトピー性皮膚炎(22人)患者について末梢血液中のヒスタミン濃度を測定し、健常人(22人)と比較検討したところ、血漿ヒスタミン濃度はいずれも有意に上昇していたが、細胞中のヒスタミン量はおのおの有意に低下、および上昇していた。これらの結果から、ヒスタミン遊離活性を持つ自己抗体の存在は蕁麻疹に対する疾患特性が高いこと、加えてアトピー性皮膚炎では、脱顆粒の程度はほとんど変化することなく、好塩基球内と血漿中に存在するヒスタミンの絶対量が増加していることが示唆された。また自己血清による皮内反応陽性で、従来の治療に抵抗性の重傷の慢性蕁麻疹患者に対して二重膜濾過法による治療を行い、良好な結果を得た。 ラット肥満細胞へのヒト高親和性IgE受容体(FcεRI)キメラ分子発現については、本年度はcDNA組み込みベクターを大量合成し、電気穿孔法によるトランスフェクションのための条件検討を行った。来年度はこれらの条件に基づき安定した形質転換細胞株を樹立する予定である。目的とする分子を発現した細胞株を作成後は、抗ヒトFcεRI抗体に対する最も反応性の高い株を選別し、すでに収集、保存している血清サンプルを用いてヒスタミン遊離活性の検討を行う予定である。
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