1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的糖尿病マウスに作製したMRSA感染皮膚潰瘍の修復機序の解析
Project/Area Number |
09670897
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
坪井 良治 順天堂大学, 医学部, 講師 (70221421)
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Keywords | 創傷治癒 / MRSA / 皮膚潰瘍 / 糖尿病 / 動物モデル / 感染潰瘍 / wound healing |
Research Abstract |
遺伝的糖尿病マウスに作製した全層皮膚欠損創の治癒過程は正常マウスのそれに比較して遅延していることを、我々はすでに報告した。従来、特定の細菌を短期間皮膚欠損部に密封し、さらに抗生物質を局所に投与してその効果を検討した報告はあるが、慢性感染潰瘍の修復過程や薬剤の長期的効果を検討したものはない。今回、糖尿病マウスにMRSAを感染させることにより、慢性の感染皮膚潰瘍モデルの作製を試みた。まず、いくつかの予備実験を行って条件設定を行った。方法は糖尿病マウス(C57BL/KsJ db/db mice,Jackson Laboratory)の背部皮膚中央に円形の全層皮膚欠損創を縦方向に2個作製し、菌を接種して密封した。一定時間後マウスを屠殺して、病理組織標本を作製し、創傷治癒の評価を、再上皮化率(%)、肉芽組織面積(mm2)、について評価した。菌学的には、創表面の塗沫所見、菌数、培養所見を調べた。その結果、 (1)開放創より密封創の方が感染実験として優れる、(2)創は直径3mmが良い、それ以上大きいと潰瘍は1ヶ月を経ても全く治癒しない、(3)接種菌数は1X10^6が適切、(4)感染潰瘍成立には4日間を要する、(5)この潰瘍はさらに9日間を経ても治癒しない、(6)MSSA N315P株とMRSA N315 PZR株の間に大きな病原性の差はない、などが判明した。また感染成立後、菌は無数に検出され、密封を続けると菌塊となった。しかし他の菌の侵入はなかった。来年度は治療剤の効果について検討する予定である。
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