1997 Fiscal Year Annual Research Report
免疫不全マウス再構成皮膚における培養毛乳頭細胞による毛包形成の誘導と関連因子
Project/Area Number |
09670898
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
窪田 泰夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (10126047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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Keywords | 再構成 / 皮膚 / 免疫不全マウス / 移植 / 毛乳頭細胞 / メラノサイト |
Research Abstract |
線維芽細胞と表皮細胞からなるComposite graftは移植後3週目に開窓した時点では、組織上、数層の表皮細胞の層とコラーゲンゲル中に紡錘状の線維芽細胞が散在する真皮が形成されており、いわゆるヒト皮膚の構造を呈していた。また使用した表皮細胞は初代培養であるため混入したメラノサイトが表皮基底層に分布しており、肉眼的にも再構成された皮膚面には黒褐色色素沈着の所見が確認された。 血管内皮細胞を用いた移植片は移植後3週目には開窓時に皮膚様の構造が形成されておらず、少量の細胞残骸物とコラーゲン基質のみがマウス皮下に残存しているにすぎなかった。これは血管内皮細胞はコラーゲンゲル中において拘縮せずゲル組織を十分に支持することができなかったものと思われた。 毛乳頭細胞により作製したComposite graftのマウス移植片では、開窓時に肉眼的には線維芽細胞による場合とほぼ同様の再構成皮膚の形成が確認された。しかし組織学的には毛乳頭細胞を使用した場合と線維芽細胞の場合ではメラノサイトの分布やメラニン顆粒の沈着の点で大きな差異が認められた。フォンタナ・マッソン染色やDOPA反応を施行したところ、コラーゲン中に線維芽細胞を混じた場合ではメラニン顆粒やDOPA陽性メラノサイトは表皮細胞層の最下端にのみ存在するのに対して、毛乳頭細胞による再構成皮膚では表皮層のみならず真皮(コラーゲン層)へもメラニン顆粒やメラノサイトが著明に認められた。 実体顕微鏡下にヒト毛包から単離した毛乳頭組織を直接的に線維芽細胞と表皮細胞を用いて作製したComposite graftのコラーゲンゲル中に注入した。開窓後に組織学的に検討した結果、コラーゲンゲルの中に毛乳頭組織は残存していたが、その被覆表皮細胞や周辺の線維芽細胞にはとくに組織学的には変化を認めなかった。
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