1999 Fiscal Year Annual Research Report
免疫不全マウス再構成皮膚における培養毛乳頭細胞による毛包形成の誘導と関連因子
Project/Area Number |
09670898
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Research Institution | Kagawa Medical University |
Principal Investigator |
窪田 泰夫 香川医科大学, 医学部, 教授 (10126047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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Keywords | 皮膚 / 再生 / 免疫不全 / 移植 / 毛乳頭細胞 / メラノサイト |
Research Abstract |
免疫不全マウスを用いた再構成皮膚の作成技術はほぼ確立された。コラーゲンゲル中にヒト線維芽細胞を混入し、その上に表皮細胞を層状に培養して作成したComposite graftをnu-scidマウス背部に移植するとヒト皮膚類似の構造が形成された。初代培養の表皮細胞のなかには少数混入したメラノサイトが存在するが、これらは再構成された表皮の基底層に分布した。コラーゲンのかわりに基底膜成分ゲル(マトリゲル)をもちいて線維芽細胞を培養したが、ゲル収縮は起こらずComposite graftの作成はできなかった。 線維芽細胞の代りにヒト頭髪由来の毛乳頭細胞により作製したComposite graftを用いた再構成皮膚組織に対しH-E染色、メラニン染色、DOPA反応および電顕的観察を行なった。その結果、毛乳頭細胞を用いた再構成皮膚では表皮突起の延長が比較的著明であったが、明かな毛包様構造の形成はなかった。しかし表皮層のみならず真皮層へもメラニン顆粒の滴落やメラノサイトが認められ、電顕的観察によりメラノソームを含有したメラノサイトがコラーゲンゲルと線維芽細胞よりなる人工真皮中に少数ながら確認された。この変化は線維芽細胞での再構築皮膚では認められないことから毛乳頭細胞の作用により、本来表皮層に限局するメラノサイトが真皮へ遊走した可能性が示唆された。今後、毛乳頭細胞由来の遊走因子の同定を進める予定である。 実体顕微鏡下にヒト頭髪から単離した毛乳頭組織3〜4個をまとめてComposite grafのコラーゲンゲル中へ注入し、マウス背部に移植した。コラーゲンゲルの中に埋没させた毛乳頭組織はわずかに残存していたが、その上方の被覆表皮からの、表皮の下方への延長やあきらかな毛包構造の形成は確認できなかった。
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