末梢動脈に対する金属ステント挿入術における血栓形成、血管内膜増殖予防法の開発研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09670909
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 淀野 啓 弘前大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30113848)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 阿部 由直 弘前大学, 医学部, 教授 (10167950) ; 野田 浩 弘前大学, 医学部, 助手 (00292152)
• Keywords: 金属ステント / 血栓予防 / 血管内膜増殖予防

Research Abstract

本研究の最初の課題は、各種コーティングされた金属ステントの作成である。金属ステントは、0.035インチステンレスガイドワイヤーの内部コアを使い、6ベント横径15mmのオリジナルG-Zステントを自作した。ストラット間の連結部は半田付け処理が成された。その後、ハナコメディカル株式会社開発部との共同開発により、これらの自作金属ステントに各種コーティング処理を施した。親水ポリマー、シリコン、ラメラ、テフロン、ポリウレタンコーティング加工を試みたが、ポリウレタン加工の安定性が不良であった。完成された各種コーティング金属ステントは、3-5ミクロン厚親水ポリマー、40-50ミクロン厚シリコン、3-5ミクロン厚ラメラおよび20ミクロン厚テフロンコートG-Zステントであった。しかし、熱処理コーティング処理による半田溶接部の破損が高頻度にみられたので、銀ろう溶接に変えた。その結果20%の破損率に低減し比較的満足のいく各種コート金属ステントを作成することができた。第二の課題は、invitro試験による抗血栓付着効果の評価である。人血中に各種コート金属ステントを晒し、非コート金属ステントをコントロールとし走査電顕を用い血小板の付着程度を比較検討した。その結果、各種コート金属の血小板付着はコントロールと比較し有意に少なかったが、各種コート金属ステント間に有為差はなかった。第三の課題は、雑種犬を用いて、各種コート金属ステントの抗血栓性、血管内膜増殖抑制能について実験的に評価することである。雑種犬4頭に7Fr.シースを大腿動脈に経皮的に挿入し、各種コート金属ステントそれぞれ6個計24個、非コート金属ステント計6個大動脈に留置した。1頭は留置翌日急性大動脈閉塞で急死したが残る3頭は順調に経過観察中である。4-6ケ月後薬殺し、剖検の上目視観察および病理検討を行う予定としている。以上、本研究は、3年間の継続研究となっており今年度の成果は初期段階のものであった。