1997 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血流量の選択的低下によるマイクロウェーブ温熱療法の効果増強の研究
Project/Area Number |
09670912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀 勝義 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00143032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 祥子 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (00125551)
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Keywords | 温熱療法 / マイクロウェーブ / 腫瘍血流 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 / temocapril |
Research Abstract |
温熱療法は、深達度の大きい癌には効果不十分の場合が多い。加温しても血流により熱が運び去られ、腫瘍に熱が蓄積しないことがその原因のひとつと考えられている。そこで、腫瘍組織血流量を下げ、腫瘍からの熱クリアランスを低下させることにより、温熱療法の効果を増強しようと試みた。現在、腫瘍血流を減少させる薬剤がいくつか報告されているが、それらの薬剤は全身血圧の著しい低下を伴っている。臨床応用を目指すには、副作用防止のために、極端な血圧低下を生じない薬剤が必要である。 本年度の研究目標のひとつは、全身血圧を大きく下げることなく、腫瘍組織血流量のみを選択的に低下させる薬剤を見出すことであった。腫瘍および正常臓器(肝臓、腎臓、大脳、骨髄)の組織血流量への影響を様々な薬剤で検討し、スクリーニングした結果、アンジオテンシン変換酵素阻害薬であるtemocapril、captopril、およびアンジオテンシンIIタイプIレセプター競合薬の一部に、目標とする作用があることを見出した。この薬剤の中からtemocaprilを選び、腫瘍組織血流量を選択的に低下させることにより、マイクロウエーブを用いた温熱療法の治療効果が増強できるかどうかを検討した。ラットの皮下にがん細胞(LY80)を移植し、無治療群、マイクロウエーブ単独治療群、temocaprilによる腫瘍血流低下+マイクロウエーブ併用群の3群の間の、治療効果の差を検討した。マイクロウエーブ発生源から2cm以内の腫瘍組織への影響を組織学的に検討すると、腫瘍血流低下+マイクロウエーブ併用群でもっとも広範囲の壊死が認められた。次年度は、マイクロウエーブの加温による腫瘍組織血流量の変化、および腫瘍血流量と腫瘍内熱クリアランスとの関係を、in vitroとin vivoの実験で検討する。
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