1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属製ステントの再狭窄防止及び作用効果増強に関する検討
Project/Area Number |
09670922
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
坂井 豊彦 福井医科大学, 医学部附属病院, 助手 (40283189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 靖 福井医科大学, 医学部, 教授 (00026949)
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Keywords | ステント / 再狭窄 / アレルギー / 内膜肥厚 / 動脈閉塞 / 血管形成術 |
Research Abstract |
昨年から引き続き、金属ステントの原料であるステンレススチールのキトサン被覆に関する研究を進めた。キトサンを1N濃度の酢酸に溶解した液の中にステンレススチールを浸し、引き続いて1N濃度の水酸化ナトリウム中でキトサンを重合させて被覆を完成させる。しかしこの方法ではステンレス表面のキトサン被覆の不均一性が問題となった。そこで今年は酢酸中のキトサン濃度を下げて、ステンレススチールを酢酸溶液中に浸し次に水酸化ナトリウム溶液中に浸すという行程を繰り返した。これによりキトサン被覆の不均一性は若干の改善を見たものの十分とはいえず、依然として被覆したキトサンがはがれるなどの問題点が危惧された。今後、本方のようなアセチル化による被覆はその均一性に問題があり、可能であれば他のアルキル化などの方法を試すとともに、現時点での被覆でどの程度の薬剤徐放効果が期待できるかを検討する必要があると考えられた。 また、キトサンに混入する薬剤についての検討も行った。薬剤の選定に関しては、血管平滑筋の増殖、遊走によるステント内狭窄防止が目的なので、細胞増殖を抑制する薬剤として抗癌剤とステロイドが選択された。しかし、これらの薬剤が血管内皮の機能を落とし、結果として血管狭窄を誘導する可能性もあるので、まずラットの大動脈を用いてこれらの薬剤が血管内皮の一酸化窒素産生機能に影響を与えないかを薬理学的に検討した(一酸化窒素は内皮で産生され、平滑筋増殖抑制作用などを持つ)。結果としてステロイドは大きな影響を与えなかったが、抗癌剤ファルモルビシンは血管内皮の一酸化窒素関連機能を低下させていることが明らかとなった。従って本実験に使用する薬剤としてはファルモルビシンよりもステロイドあるいは他の抗癌剤が適切と考えられた。
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