1998 Fiscal Year Annual Research Report
Nd-YAG LASER Systemを用いた肝細胞癌の治療に関する臨床的研究
Project/Area Number |
09670944
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
森 宣 大分医科大学, 医学部, 教授 (20128226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 雄三 大分医科大学, 医学部, 助手 (70295187)
竹岡 宏 大分医科大学, 医学部, 助手 (20253792)
前田 徹 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00157140)
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Keywords | Nd-YAG LASER / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
今年度の研究実績として,1)血管造影およびCTにて造影効果を有さない高分化型肝細胞癌,もしくは2)抗癌剤動注療法にて効果が得られなかった肝細胞癌,を対象にinterstitial hyperthe mia療法を行った.腫瘍径が3cm以上で個数が4個以上の症例は治療の対象から除外した.治療方法として5W/5分のパルス照射を4患者6病巣に施行した.腫瘍の平均サイズ1.5cm,平均照射回数2.4回であった.結果として,超音波所見上,照射開始後30秒後に全病変でhyperechoic areaの出現が認められ,同領域は経時的に拡大した.一回の照射で腫瘍全体がhyperechoic areaにならない腫瘍に対しては追加照射をした.照射終了直後の時点では,hyperechoic areaの最大径は平均で1.5cmであった.また,hyperechoic areaを取り囲むように数mm幅のhypoechoic areaの出現が6病変で認められた.照射中に強い痛みを訴え,照射を中止した例が1例あった.その他の例では軽度の痛みや少量の被膜下血腫がみられたものの,他の重篤な合併症は認めなかった.4病巣で腫瘍の再発が見られず経過良好である(平均観察期間5.2カ月).1病巣では照射効果不良のため手術が施行された.1病巣では7カ月後に再発し再度interstitial hyperthermiaをおこない現在経過良好である(観察期間2カ月).本臨床研究の前に行った家兎を用いた基礎実験では,5W/5分のパルス照射にて直径約15mmの範囲でthermal necrosisの病理所見を呈しており,従って臨床上も1回の治療で15mm以上の壊死領域が期待できるものと思われた.しかしながら,実際には腫瘍および腫瘍周囲の肝血流により加温が妨げられthermal necrosisの範囲は小さいと思われた.今後は症例蓄積ならびに長期成績と,更に照射時間の短縮を計る目的で10Wのパルス照射を家兎の基礎実験の裏付けを基に臨床研究を行う予定である.
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