1997 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌放射線治療効果を予測する先行指標としての癌関連遺伝子とアポトーシスの研究
Project/Area Number |
09670949
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉村 均 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60167012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 祥弘 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (10244716)
岩田 和朗 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00201343)
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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Keywords | 食道癌 / 放射線治療 / 治療効果 / 先行指標 / 癌関連遺伝子 / アポトーシス |
Research Abstract |
1997年5月より1998年2月までに進行食道癌9例に対して放射線治療単独で総線量60Gy以上の治療を施行した。症例の内訳は、年齢が57から77歳(平均67.8歳)で、全例男性であった。PSは0-1で、Stageは食道癌取扱い規約でIIが3例、IIIが2例、IVが4例であった。病理組織型は全例扁平上皮癌であった。放射線治療は高エネルギーphoton(10MVX〕により総線量は60から70Gy(平均69.0Gy〕照射し、70Gyを照射した8例のうち^<60>Coによる10Gyの腔内照射を併用したのは3例であった。食道造影、超音波内視鏡、MRIによる画像診断での治療効果はCR3例、PR6例であった。1998年3月現在、1例が再燃により治療開始より7か月で死亡した。また1例が再燃を認めているが、その他の7例については再燃、再発なく生存している。(観察期間:治療開始より3-8か月、平均5.9か月〕。組織標本は治療前、10Gy照射時、治療終了後1ヵ月以内での腫瘍組織を採取し、一部はホルマリン固定後パラフィンブロックで保存し、一部は凍結保存した。来年度は、パラフィンブロックから切片を取り出して、アポトーシスの出現の有無をApo Tag染色およびHE染色で判定する予定である。また、癌抑制遺伝子産物であるp53およびwaf1、bcl-2,bax、Rbなどのp53を中心としたシグナルトランスダクション経路の遺伝子産物の発現について免疫染色法により判定する予定である。さらに食道癌の予後との関連性がいわれているcyclin Dについても免疫染色法により、その発現の有無を判定する予定である。また、凍結組織からRNAを抽出し、RT後PCR-SSCP法によりp53、waf1、bcl-2,bax、Rb遺伝子などの発現や変異の有無について検討する予定である。さらに来年度は、20症例を目標に11例の症例を追加し。癌関連遺伝子の増幅や変異ならびに放射線治療初期(10Gy照射時)のアポトーシスの出現の有無と一次治療効果および再燃、再発、生存との関連について明かにする予定である。
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