1998 Fiscal Year Annual Research Report
変位を伴わない小児骨折のX線診断における検出能とその影響因子
Project/Area Number |
09670951
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
江原 茂 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (50125506)
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Keywords | 不全骨折 / 上肢骨遠位部骨折 / 関節内骨折 / 骨端線骨折 / X線診断 |
Research Abstract |
小児の変位を伴わない骨祈の診断における検出能の影響因子についてさらに検討を行った。前腕手関節部に引き続き今年度は上腕骨顆上骨折を主な対象とした。 1. 上腕骨顆上骨折の診断能 岩手医科大学付属病院で施行された15歳以下の小児の肘関節の外傷症例のうち、変位の軽度な症例と年齢を一致させたコントロール症例を15症例づつ準備して検討対象とし、経験のある放射線科医による検出能の検討を行った。前年度の前腕の骨折の検出能と同様に、臨床情報の役割は明らかに検出能に影響した。ただし、前腕と異なる点は肘関節の骨端形成の複雑さが加わる点と、関節内血腫の存在が検出の一つの要素となっている点であった。 2. 骨折による変形の程度の定量的評価の試み 前年度からの検討課題として残された骨折による変形の程度の定量的評価の試みと診断能の相関についても検討を続けた。しかし骨折の評価には骨皮質の変位のみではなく骨梁レベルでの変位や不整が加わっているため、定性的評価以上に有効な診断能の評価法は現時点ではえられていない。皮質変位が評価に重要な成人例では異なる可能性もあるため、将来の検討課題としたい。 3. まとめと展望 変位の少ない小児骨折の評価は、患児の症状などの比較的主観的な判断に偏りがちであるが、臨床症状無しにもある程度の信頼性をもって診断でき、また特に経験ある観察者にとって見逃しを減らすためには臨床症状が有用であることを、前腕および肘において証明した。経験の少ない観察者がいかに有効に観察法を獲得するかは臨床教育に重要であり、研修医を対象に今後ともさらに検討する予定である。
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