1997 Fiscal Year Annual Research Report
磁場印加により癌の多剤耐性を克服するための核医学的アプローチ
Project/Area Number |
09670954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 佳代子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20124480)
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Keywords | 磁場 / 悪性腫瘍 / 抗癌剤 / 多剤耐性 / Tc-99m-MIBI / P糖蛋白質 |
Research Abstract |
1 使用する悪性腫瘍細胞の性質の構築: 甲状腺未分化癌(14種類)と類上皮癌(KB-3-1)と、これに多剤耐性遺伝子mdrをトランスフォームして作成した培養株、KB-G2、さらに、KB-3-1を抗癌剤存在下にて長期間培養し、MRPを多く発現して多剤耐性を獲得した培養株、CA-500について、各種の抗癌剤に対する感受性を求め、これとTc-99m-MIBIとの取り込みとの相関、更に、Tc-99m-MIBIの取り込みに対するverapamil(P糖蛋白質の機能を失活させる)添加の影響を検討した。結果として、KB-3-1、KB-G2、CA-500に加え、甲状腺未分化癌の内、非常に多剤耐性の高い;検討した抗癌剤への耐性が高く、Tc-99m-MIBIの取り込みが非常に低く、更に、verapamilの添加により、抗癌剤に対する感受性が復活して、Tc-99m-MIBIの取り込みも増感する株;TCO-1、を選択した。 2 磁場印加の影響 上記の腫瘍細胞に7.0Tの磁場を1時間印加したところ、以下のような結果を得た。 (1)CA-500は磁場印加の1日、2日後、ともに対照群(磁場を印加しない群)と同様、高濃度の抗癌剤にても細胞致死効果がなく、耐性を示し、磁場の影響はないと考えられた。また、Tc-99m-MIBIの取り込みに関しても、磁場印加の影響は認められなかった。 (2)KB-3-1は磁場印加1日後に、僅かに抗癌剤耐性を示し、2日後には、対照群と同様の感受性を示した。Tc-99m-MIBIの取り込みに関しても同様に、磁場印加1日後に、僅かな低下を認めた。 (3)KB-G2は磁場印加1日後に、僅かに抗癌剤に対して感受性を示し、2日後には、対照群と同様の耐性を示した。Tc-99m-MIBIの取り込みに関しても同様に、磁場印加1日後に、僅かな上昇を認めた。 (4)TCO-1はKB-G2と全く同様の結果を示した。 以上の磁場印加の影響が、P糖蛋白質に対して特異的なものであるか否かを、verapamilの添加やモノクローナル抗体を用いて検討を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中村佳代子: "核医学/最近の進歩:放射性医薬品" 日本医学放射線学会雑誌. 57(5). 13-16 (1997)
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[Publications] 藤井博史、他: "Tc-99m-MIBIシンチグラフィによる乳癌多剤耐性の検討" 免疫・腫瘍核医学. 12(1). 20-22 (1997)
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[Publications] 中村佳代子: "放射性医薬品の集積機序" 核医学・技術. 17(4). 265-267 (1997)
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[Publications] K.Nakamura,et al: "In vitro assessment of MDR-reversing agents by Tc-99m-MIBI or Tc-99m-Tetrofosmin" Journal of Nuclear Medicine. 38(5). 180P-181P (1997)
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[Publications] H.Fujii,et al: "The preoperative prediction of the response to doxorubicin for breast cancer using Tc-99m MIBI" Journal of Nuclear Medicine. 38(5). 234P-235P (1997)
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[Publications] K.Nakamura,et al: "In vivo evaluation of P-glycoprotein by I-125-labelled MRK-16 monoclonal antibody or Tc-99m-MIBI" European Journal of Nuclear Medicine. 24(8). 869- (1997)