1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管造影剤による糖尿病ラット腎への影響と急性腎不全発現機序解明の基礎的検討
Project/Area Number |
09670957
|
Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
東 静香 帝京大学, 医学部, 講師 (40147062)
|
Keywords | 血管造影剤 / 腎臓障害 / 糖尿病 / ラット / 水制限 / リスクファクター / 生化学的検査 |
Research Abstract |
『目的』臨床的に捉えにくい早期糖尿病の腎臓に対して1.血管造影剤の投与の影響、2.血管造影剤投与時に水制限を行った場合の影響を実験的に検討した。『材料と方法』血糖400mg/dl以上の早期糖尿病(DM)ラットを使用した。血管造影剤はamidotrizoate(amid),ioxaglate(iox),iopamidol(iop)を、対照として生理食塩水を使用した。血管造影剤の量は4gI/Kgとした。l.正常ラット(H)とDMラットに各薬剤を投与後、24時間尿を採集した後、屠殺、採血した。尿と血液は生化学的分析を行った。腎臓は電子顕微鏡で観察した。2.HとDMラットを4時間断飲水の後、各薬剤を投与し上記と同様の方法で検討した。『結果』1)組織的観察では、どの造影剤においても近位尿細管細胞に空胞(文献的に空胞は近位尿細管障害の指標とされる)が見られたが、出現頻度はDMではむしろ少なかった。腎糸球体細胞ではメサンギュウム細胞のactivationとメサンギュウム領域の増加が、低浸透圧非イオン性のiopよりも高浸透圧イオン性のamidで強く観察された。生化学的検索では組織学的観察と一致した近位尿細管細胞の障害が示唆されるデータが得られた。2.複雑な様相を呈した。近位尿細管の指標である尿中および血中NAGが顕著な変化を示した。DM、H、禁水Hラットとも尿中NAGに変化はなかったが、禁水DMラットでは尿中NAGは有意に上昇した。そこに、生理食塩水、iopを投与すると尿中NAGは減少したが、amidとioxでは低下しなかった。血中NAGは禁水DMラットですべての造影剤で著明に増加した。組織学的観察では、禁水DMラットの近位尿細管細胞の浮腫や細胞質内器官の脱落、核の濃縮などの障害の頻度が高く観察され、そこにamidを投与するとさらに障害の増悪が認められた。『結論』l)早期糖尿病病態においても血管造影剤の投与により障害が悪化すること、2)造影剤投与時に脱水状態にあると障害が増悪することが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)