1997 Fiscal Year Annual Research Report
高安動脈炎の放射線診断学的研究-とくに急性活動期における胸部X線所見とその経過-
Project/Area Number |
09670959
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松山 正也 東海大学, 医学部, 教授 (10055923)
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Keywords | 高安動脈炎 / 大動脈炎 / 鎖骨下動脈閉塞 / 脈なし病 / 下行大動脈の壁不整 / 肺動脈閉塞 / 大動脈瘤 / 肺梗塞 |
Research Abstract |
1975年2月から1996年1月までの21年間に、当院で経験した高安動脈炎64例中急性期に発見され経過の観察できた10例を対象とした。本研究の目的である急性期におけるX線所見の特徴と、その後の変化を詳細に検討するため、初診時から経過の観察できたこれまでのX線写真と、確定診断の契機となったCT,MRI,血管撮影、核医学検査など他の画像をも同時に収集した。資料が実際に入手でき経過観察が可能であった症例の期間は4年から最長18年間である。現在までにフイルムの収集はほぼ完了し、その一部をコピーするかパソコンに入力保存しそれぞれの画像所見の拾い上げを開始している。胸部写真については、原則として正面、側面について、とくに以下の項目と、その経時的変化について検討中である。 1)心拡大の推移:心拡大は心胸郭比を参考にしたが、必要に応じて各心房、心室の拡大の有無も記載した。また血圧との関係も考慮した。2)大動脈の拡大:本症の最も重要な項目であり、上行大動脈、弓部、下行大動脈に分けて検討中である。合併する可能性のある大動脈弁閉鎖不全については心雑音の有無など他の所見をもとに検討している。3)下行大動脈外縁の異常(不鮮明化、辺縁の波状不整像scalloping,限局性膨隆、石灰化など):急性期の大動脈の変化として最もしばしばみられる変化であり、また経時的変化の最も著しいところでもあるので短期間毎の検討を行うことにしている。4)左傍気管軟部陰影の幅:大動脈弓分枝のうち左総頸動脈、左鎖骨下動脈の急性炎症に伴う壁の肥厚や瘤形成の可能性を示唆し得る所見であり検討項目に加えた。 その他、5)肺血管の異常と肺虚血、6)肺浸潤、7)胸水、8)横隔膜、9)肋骨異常、などについても検討中である。また以上の所見と臨床症状や血液生化学所見とも比較検討する予定である。
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