1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症による脊髄骨折と大腿骨頚部骨折の成因に関する研究
Project/Area Number |
09670966
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
福永 仁夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00093302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 信昭 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20140519)
曽根 照喜 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90179383)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 脊髄骨折 / 大腿骨頚部骨折 / 骨塩定量 / 骨代謝マーカー / 骨構造 |
Research Abstract |
骨粗壓症に基づく脊椎骨折と大腿骨頸部骨折の成因を明らかにするために、前年度に引き続き、骨塩定量と骨代謝マーカーを測定した.特に、骨代謝マーカーの経時的な変化が、骨の脆弱性に関与する骨密度(BMD)に及ぼす影響と、骨代謝マーカーによる骨量減少の検出能が腰椎(L)と大腿骨頸部(F)で異なるか否かを検討した. 骨代謝マーカーの年間変動率(%/年)と閉経後年数との関係については、閉経後0〜4年群(N=16)のPyrの年間変動率が-0.9±14.9、5〜9年群(N=18)が13.1±25.6、10年以上群(N=62)が12.8±26.6であり、0〜4年群に比して、10年以上群は有意(p<0.05)に高値であった.また、骨代謝マーカーの年間変動率とL-BMDとの間には、r=0.309(N=49、p<0.05)の有意の相関が観察された. 原発性骨粗鬆症の診断基準(日本骨代謝学会 1996年度改訂版)に従い、L-BMDとF-BMDを正常、骨量減少と骨粗壓症に分類し、骨代謝マーカー値との関係を検討した.骨吸収マーカーについては、L-BMD正常群(N=105)の尿中D-Pyr/Cr(5.69±2.08pmol/μmolCr)に比較して、骨量減少群(N=25、7.79±2.69)と骨粗鬆症群(N=15、7.24±2.34)は、有意(p<0.001と0.02)に高値であった.F-BMDについては、正常群、骨量減少群と骨粗鬆症群の間には、有意差が認められなかった.一方、骨形成マーカーである血中オステオカルシン(OC)については、L-BMDおよびF-BMDの3群間に有意差はなく、また、(NTx/Cr)/OC比も3群間で有意な差が認められなかった.これらの結果から、骨吸収マーカー値は、海綿骨が主体の腰椎のBMDをある程度反映することが示唆された. 現在、椎体骨折例と大腿骨頚部骨折例のデータを引き続き収集中であり、次年度は、BMD、骨代謝マーカーと骨構造を総合的に検討し、骨折の成因を明らかにする予定である.
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