1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病病態モデルを用いた抗精神病薬の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
09670969
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久住 一郎 北海道大学, 医学部, 助手 (30250426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 猛 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70250438)
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Keywords | フェンサイクリジン(PCP) / 精神分裂病 / セロトニン5HT_<24>受容体 / ドパミンD_2受容体 / ストレス |
Research Abstract |
当初予定していたラット内側前頭前野へのドパミン神経毒6-OHDA注入あるいは電気的破壊は結果が安定しないため、非競合性NMDA受容体拮抗薬であるフェンサイクリジン(PCP)投与に変更して、精神分裂病病態モデルの作成とその妥当性の検討を試みた。 Wistar系雄性ラットにPCP5mg/kgまたは生理食塩水を単回、または1日1回3週間腹腔内投与した。単回投与群は24時間後に断頭し、慢性投与群は3群に分け、それぞれ24時間後、48時間後、1週間後に断頭して、前頭皮質ならびに線条体を切り出し、膜標本を作成して各受容体結合実験に供した。前頭皮質のセロトニン5-HT_<2A>受容体ならびに線条体のドパミンD_2受容体をそれぞれ〔^3H〕ketanserinと〔^3H〕spiperoneで標識した。 急性単回投与、慢性投与24時間後、48時間後、1週間後の各群のいずれにおいても、5-HT_<2A>受容体及びD_2受容体のB_<max>とK_DはPCP群と生食群との間に有意な差を認めなかった。この結果は、これまでの報告とやや異なるが、PCP投与量が比較的低いためか、行動薬理学的に変化のみられる量であっても受容体レベルでは明らかな変化がみられない可能性も考えられる。 現在、これら各群に単回あるいは亜急性の四肢電気刺激ストレスを組み合わせて、どのような影響が現れるか検討中である。PCP群にのみストレスによる特有の変化が出現すれば、次の種々の抗精神病薬を慢性投与して、その変化に対する影響を検討する予定である。さらに、各脳部位からmRNAを抽出して、各受容体のmRNA量の測定も併せて行う予定である。
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[Publications] 久住一郎: "精神分裂病の急性期治療" 精神医学. 39. 1145-1152 (1997)
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[Publications] 久住一郎: "薬物療法-今後の展望 臨床精神医学講座3精神分裂病II" 中山書店, 207-223 (1997)