1998 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病病態モデルを用いた抗精神病薬の作用機序に関する研究
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09670969
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久住 一郎 北海道大学, 医学部, 助手 (30250426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 猛 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70250438)
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Keywords | フェンサイクリシン(PCP) / 精神分裂病 / セロトニン5-HT_<2A>受容体 / ドパミンD_2受容体 |
Research Abstract |
昨年度すでに報告したように、非競合型NMDA受容体拮抗薬フェンサイクリジン(PCP)5mg/kgをWistar系雄性ラットに急性単回投与(24時間後に断頭)、慢性3週間投与(24時間後、48時間後、1週間後に断頭)しても、いずれの場合においても、セロトニン5-HT_<2A>受容体ならびにドパミン受容体の最大結合受容体数(Bmax)と結合親和性(K_D)には生食投与群と比べて有意な変化が認められなかった。 本年度は、精神分裂病者におけるドパミン系の脆弱性と環境因子としてのストレスを組み合わせたひとつのモデルとして、急性または慢性PCP投与ラットにフットショック・ストレスを負荷して、D_2ならびに5-HT_<2A>受容体数の変化を検討した。PCP5mg/kgの急性単回投与群と3週間慢性投与群において、それぞれ最終投与24時間後に急性単回ストレス(2.5mAのフットショック・ストレスを30秒間、変動間隔平均30秒で30回負荷)または亜急性ストレス(同上のセッションを1日1回8日間施行)を負荷した。今回のストレス条件では、いずれの4群でも統計的に有意なD_2ならびに5-HT_<2A>受容体数の変化は観察されなかったが、生食前処置群とPCP前処置群では、急性ならびに亜急性ストレス負荷後のD_2、5-HT_<2A>受容体数の変化が微妙に異なっていた。今後、PCPの用量やストレス条件を展開して再検討するとともに、今年度方法論を確立したD_2、D_3、5-HT_<2A>受容体mRNA量の変化やその転写速度に関する検討を来年度以降、すすめていきたいと考えている。
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[Publications] Takahashi Y: "In vivo occupation of dopamine D_1,D_2 and serctonin (5HT) _<2A> receptors by sertindole in the rat brain." J.Psychiat.& Neurosci.23. 157-162 (1998)
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[Publications] Takahashi Y: "In vivo occupation of dopamine D_1,D_2 and serctonin_<2A> receptors by novel antipsychctic drug,SM-9018 and itc metabolite,in rat brain." J.Neural.Transm.105. 181-191 (1998)
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[Publications] 亀田 謙介: "ドパミン受容体欠損マウスを用いたドパミン受容体機能の解析について" 脳の科学. 20. 73-76 (1998)
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[Publications] 久住 一郎: "精神分裂病の薬物治療ガイドライン" Current Approaches to Psychosis. 4. 40-42 (1998)
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[Publications] 久住 一郎: "精神分裂病、その他の疾患に対するリチウム療法" Lithium up date. 1(4). 3-6 (1999)
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[Publications] 久住 一郎: "精神分裂病のアルゴリズム-急性の副作用/精神分裂病と気分障害の治療手順" 星和書店, 27-33 (1998)
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[Publications] 久住 一郎: "病態・病理-精神化学/臨床精神医学講座2精神分裂病I" 中山書店, 149-167 (1999)