1997 Fiscal Year Annual Research Report
小児崩壊性障害の症状、発達及び経過に関する臨床的研究
Project/Area Number |
09670977
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 広 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30010466)
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Keywords | 小児期崩壊性障害 / 崩壊精神病 / 有意味語消失 / 精神発達退行 / 広汎性発達障害 |
Research Abstract |
有意味語消失を中心とした精神発達退行を呈する広汎性発達障害である、DSM-IVの小児期崩壊性障害(CDD)11例(平均年齢=7.3歳、SD=2.9、男8、女3)、CDDの診断基準は満たさないICD-9の崩壊精神病(DP)14例(平均年齢=7.1歳、SD=4.5、男11、女3)、および有意味語消失の既往を有するDSM-IVの自閉症(自閉性障害)(ASL)59例(平均年齢=6.0歳、SD=3.3、男44、女15)の連続受診例からなる3群(年齢と性比に有意差なし)について、症状および発達を比較検討した。 産科的危険因子の出現頻度は、3群で有意差はなかった。平均退行開始月齢(SD)は、CDD、DP、ASL各群で各々、32.2(10.0)、34.9(7.7)、17.8(3.4)と3群で有意差があり(F(2,81)=73.6,p<0.001)、対比較ではASL群で他2群より有意に早く、CDDとDP群間に有意差はなかった。有意味語初出月齢と初歩月齢に3群で有意差はなかったが、おむつがとれた月齢は、それが把握できた例では3群で有意差があり(F(2,53)=4.01,p<0.05)、対比較の結果、CDD(n=11;平均=21.3、SD=4.7)はASL(n=36;平均=28.0、SD=7.3)より有意に早く、DP(n=9,平均=29.1、SD=9.7)よりも早い傾向があった。IQ測定可能例のIQ(SD)は、CDD(n=8)、DP(n=10)、ASL(n=36)で、各々、41.4(11.4)、34.1(16.2)、42.0(14.3)であり3群間に有意差はなかった。小児自閉症評定尺度東京版(CARS-TV)総得点(SD)は、CDD、DP、ASLで各々、32.9(3.3)、34.0(4.5)、33.6(5.4)であり、3群間に有意差はなかった。てんかん発作の既往を有する例の頻度は、CDD(27.3%,3/11)でDP(7.1%,1/14)およびASL(1.7%,1/59)より高かった。 CDDはASLより退行前の発達は良好だが、退行後の平均7歳時点では、てんかん併発の頻度から脳器質的障害の存在はより明白と思われるが、発達および自閉症状の差は少なくなり、とくにDPとの差異は少ない。
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