1998 Fiscal Year Annual Research Report
小児崩壊性障害の症状、発達及び経過に関する臨床的研究
Project/Area Number |
09670977
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗田 広 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30010466)
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Keywords | 小児期崩壊性障害 / 崩壊精神病 / 有意味語消失 / 精神発達退行 / 広汎性発達障害 |
Research Abstract |
有意味語消失を中心とした精神発達退行を呈する広汎性発達障害である、DSM-IVの小児期崩壊性障害(CDD)9例(平均年齢=7.6歳、SD=3.1.男6、女3)、CDDの診断基準は満たさないICD-9の崩壊精神病(DP)18例(平均年齢=6.3歳、SD=2.0、男14、女4)、および有意味語消失の既往を有するDSM-IVの自閉症(自閉性障害) (ASL)75例(平均年齢=6.0歳、SD=3.3、男57、女18)の連続受診例からなる3群(年齢と性比に有意差なし)について、退行前、退行時および退行後の初診時の症状および発達を比較検討した。 退行前については、産科的危険因子の頻度は3群で有意差はなかった。平均退行開始月齢(SD)は、CDD、DP、ASL各群で、各々、33.2(10.8)、33.2(7.6)、19.4(5.8)と3群で有意差があり(F(2,99)=42.1,p<01)、対比較ではASL詳で他2群より有意に早く、CDDとDP群間に有意差はなかった。有意味語初出月齢と初歩月齢に3群で有意差はなかったが、退行前に指差しを有していた例の頻度は3群で有意差があり(X^2(2)=31.5,p<0.01)、対比較の結果、CDD(100.0%)はDP(38.9%)およびASL(14.7%)より有意に頻度が高かった。小水の予告の達成度も同様な関係があった。2語文を表出していた例および正常な対人関係を有していた例の頻度は、ASL詳がCDDおよびDP群双方より有意に低かった。 初診時では、重度遅滞の頻度に3群で有意差はなく、測定可能例のIQ(SD)は、CDD(n=6)、DP(n=13)、ASL(n=44)で、各々、39.8(15.4)、36.0(13.4)、39.5(14.2)で3群間に有意差はなかった。小児自閉症評定尺度東京版(CARS-TV)総得点(SD)は、CDD、DP、ASLて各々、33.4(3.2)、36.4(13.8)、33.6(4.8)で有意差はなかった。てんかん発作の既往を有する例の頻度は、CDD(33.3%)でASL(1.4%)より有意に高く、DP(11.1%)とは有意差がなかった。 CDDはASLより退行前の発達は良好だが、退行後の平均6〜7歳時点では、てんかん併発の頻度から脳障害の関与の可能性はより大と思われるが、発達および自閉症状の差は少なくなり、とくにDPとの差異は少なくなる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 栗田 広: "小児期崩壊性障害.花田雅憲,山崎晃資編: 児童青年期精神障害" 中山書店, 115-120 (1998)
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[Publications] 栗田 広: "小児期崩壊性障害.栗田 広: 広汎性発達障害" 全国心身障害児福祉財団, 80-89 (1998)