1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病のミオクローヌスに関する臨床病理学的研究:3次元画像解析装置を用いた小脳歯状核病変の検討
Project/Area Number |
09670981
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
福谷 祐賢 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10273004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊崎 公徳 福井医科大学, 医学部, 教授 (00115205)
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Keywords | アルツハイマー病 / ミオクローヌス / 小脳歯状核 / 大型神経細胞 / 小型神経細胞 / 三次元画像解析装置 / 神経細胞密度 / 神経細胞体積 |
Research Abstract |
本研究の目的はアルツハイマー病にみられるミオクローヌスの責任病巣の解明であり、精度の高い3次元画像解析装置を用いてミオクローヌスを伴うアルツハイマー病の小脳歯状核の神経細胞の密度や形態学な変化を明らかにすることである。 平成9年度の研究実施事項:対象として、ミオクローヌスを伴うアルツハイマー病8例、ミオクローヌスを伴わないアルツハイマー病10例、正常対照老人9例の剖検脳を用いて、以下の検討を行った。各剖検脳の小脳歯状核を含む小脳半球矢状断組織を抽出し、歯状核内側部のパラフィン切片標本を作製し、神経組織特殊染色の他、免疫組織染色を施行。歯状核の神経細胞の計測には厚さ20μmのNissl染色漂本を作製。歯状核の神経細胞密度は吻側部から尾側部まで連続的に測定した。倍率100倍の対物レンズを用いて、顕微鏡に接続されたテレビカメラを通して映し出されるモニター上、Kinetic Image社製、stereologyシステムのdisectorプローベを用いて大型細胞と小型細胞を区別してカウントした。この密度の計測では電動深度測定器を用いてNissl標本内の中央部10μm内にみられる神経細胞のみを評価し、大型、小型の各々の神経細胞密度を吻側部、尾側部および全域(吻側部と尾側部を併せたもの)でそれぞれ算出した。 結果:ミオクローヌスを伴うアルツハイマー病群の歯状核の大型細胞の密度は吻則部と全域において、ミオクローヌスを伴わないアルツハイマー病群と比べ、統計学的に有意に高かった。尾側部では両群のその密度に有意な差はなかった。小型細胞の密度はいずれの部位においても両群間で有意な差はなかった。歯状核の全域での小型細胞に対する大型細胞の比(S/L比)では、ミオクローヌスを伴うアルツハイマー病群がミオクローヌスを伴わないアルツハイマー病群と比べ、有意に低下していた。 考察:今年度の検討ではアルツハイマー病のミオクローヌスの発現には歯状核の大型および小型神経細胞の数の不均衡が関与している可能性が示唆された。平成10年度はそれぞれの神経細胞の体積を測定し、形態学的な変化(萎縮や腫大)の有無について検討予定である。
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