1998 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素とスーパーオキサイドによる脳内ノルエピネフリン系神経伝達の調節
Project/Area Number |
09671006
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新谷 太 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90276379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中木 敏夫 帝京大学, 医学部・薬理学講座, 助教授 (30164148)
|
Keywords | ノルエピネフリン / 6-ニトロノルエピネフリン / 一酸化窒素 / COMT / ラット |
Research Abstract |
一酸化窒素とスーパーオキサイドはどちらもラジカルであり、脳内において産生されることがしられている。一方、ノルエビネフリンは、カテコラミシ系神経伝達物質であり、意識や記憶に重要な働きを担っていると考えられている。今回、一酸化窒素とスーパーオキサイドが、脳内においてノルエビネフリンの神経細胞からの放出をどのように調節するのかについて調べた。方法はマイクロダイアリシス法を用いた。まず、ラットをネンブタールで麻酔し、定位的にマイクロダイアリシスガイドチューブを固定する手術を行った。手術後十分な回復が得られた後、マイクロダイアリシスガイドチューブから、マイクロダイアリシスプローブを挿入した。挿入後、マイクロダイアリシスプローブ内を人工髄液で還流した。一酸化窒素の投与は、一酸化窒素を溶解した人工髄液を還流することによって行った。スーパーオキサイドの投与は、キサンチンとキサンチンオキシダーゼを投与することで行った。マイクロダイアリシスプローブを還流した人工髄液は、透析液として20分ごとに回収された。透析液中のノルエビネフリン濃度は、高速液体クロマトグラフィと電気化学検出器を使って測定された。その結果、一酸化窒素を還流すると、透析液中のノルエピネフリン濃度が上昇した。しかし、高濃度の一酸化窒素を還流した場合は、透析液中のノルエビネフリン濃度が低下することが解かった。スーパーオキサイドの投与では、透析液中のノルエビネフリン濃度が上昇した。以上から、一酸化窒素とスーパーオキサイドはどちらも脳内においてノルエビネフリンの神経細胞からの放出を亢進させる作用があることが示唆された。
|