1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病多発家系における6番染色体短腕遺伝子マーカーの解析:分裂病遺伝子の連鎖解析
Project/Area Number |
09671009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐々木 司 帝京大学, 医学部, 助手 (50235256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
功刀 浩 帝京大学, 医学部, 講師 (40234471)
福田 倫明 帝京大学, 医学部, 助手 (60246048)
南光 進一郎 帝京大学, 医学部, 教授 (60101127)
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Keywords | 分裂病 / 遺伝 / 6番染色体短腕 / HLA |
Research Abstract |
近年主に白人を対象としたデータから、6番染色体短腕領域が分裂病発病にかかわる遺伝子座の1つとして有力視されている。本研究の目的は、この領域と分裂病との関連性を日本人において調べることにある。ところで、分裂病においてはさまざまな免疫機能異常や慢性関節リューマチの合併率の減少が認められ、病気の成立に免疫系が関与している可能性がある。HLA(Human Leukocyte Antigen)は、その遺伝子が6番染色体短腕上に位置するが、免疫反応における重要な役割を果たし、かつ中枢神経疾患を含むさまざまな疾患との関連が知られている。以前我々は分裂病患者におけるHLA-DR座の多型を調べ、日本人の分裂病患者ではDR1(遺伝子のタイプ=alleleとしてはDRB1*0101)を有する割合が健常者よりも高い傾向にあることを見出した(Sasakiら1994)。これは以前に血清学的方法を用いて調べたMiyanagaら(1984)と共通する結果であった。また最近、白人を対象とした研究で、慢性関節リューマチで頻度の高いDR4が分製病では減少していることが報告された(Wrightら1996)。このDR4の減少傾向は、以前の家々の結果でもある程度認められたが、対象数が限られていたせいか統計学的には明らかでなかった。 今年度はこれらの結果を確認するため、新たに分裂病患者121例(男性50例、女性71例)を対象にHLA-DRB1遺伝子多型の分布を、近年確立されたPCR-MPH(Microtitre Plate Hybridization)法およびSSCP法を用いて調べた。対照には、同じ方法でタイピングを行った493例の健常者のデータを用いた。その結果、DR4を有する者の頻度は分裂病患者で41.3%、健常者で40.6%で差を認めなかった。今回のデータを以前のデータ(Sasakiら1994)と合わせても、分裂病患者におけるDR4の頻度の低下は認められなかった。それに対してDR1を有する者の頬度は分裂病患者で16.5%、健常者で10.5%で、患者におけるDR1の増加傾向が認められた(p<0.1)。DR1のalleleは患者、健常者ともにすべてDRB1*0101であった。今回の結果を、前回の我々の結果と合わせると、1%水準で分裂病患者におけるDRB1*0101の頻度の増加が認められた。来年度は、さらに例数を増まして結果の再現性を確認する。また他の遺伝子座の結果についても検討を行う予定である。なお今年度の結果についてはAmerican Journal of Psychiatry誌に投稿中である。 Sasaki et al(1994)Schizophr Res14:9-14. Miyanaga et al(1984)Biol Psychiatr 19:121-129. Wright et al(1996)Am J Psychiatr 153:1530-1533.
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