1997 Fiscal Year Annual Research Report
健常老人133名の15年間脳画像追跡第6次調査研究・脳の老化と痴呆の発症過程
Project/Area Number |
09671010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
笠原 洋勇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60056950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 達郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手
塚原 達也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手
忽骨谷 和孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | 健常老人脳 / 追跡研究 / 画像 / ベントン視覚記銘検査 / MWTV / CMI / 海馬 / 痴呆 |
Research Abstract |
地域で健康な生活を送っている133名の老人の協力を得て第1次(1982年)、2次(1986年)、3次(1989年)、4次(1992年)、5次(1994年)6次(1997年)の脳画像を用いた追跡を行った。海馬を中心とする側頭葉の萎縮の判定のために以下の測定を得た。 MRI検査を施行し、OMラインに平行な5mm幅スライスの水平断画像を用いた。そのうち鞍上槽のスライス上で、Schmidt.Rの方法に基づき側脳室下角の横径を計測し、さらに両側の側脳室下角内側端から鉤内側の最短距離(鉤間距離)を測定した。これらの計測値を側頭葉最外側横径で除した比も評価に用いた。これらを側頭葉内側部の萎縮指数とした。また、側脳室体部のスライス上で側脳室前角幅の脳実質部との比FHIと側脳室体部の最狭部の幅の同レベルでの脳実質部との比CMI,第三脳室最大径MWTVおよび頭頂葉スライス上での脳溝の拡大度ICAを計測し、側頭葉との関連も調べた。各検査3年後に再度同じボランティアを対象にMRIとベントン視覚記銘検査を行って経年変化を調べた。 3年間の経年変化では、左右の側脳室下角横径、左の側脳室内側径、側頭葉最外横径などで有意な変化がみられた。すなわち側脳室下角は拡大し、側頭葉内側部分萎縮し、また側頭葉最外側横径は縮小した。側頭葉の萎縮指数と他のMRIインデックスとの関係では、MWTVの拡大と側脳室下角の拡大、側頭葉最外側横径のの萎縮に特に相関がみられた。右の側脳室下角横径はベントン検査の置き違いとRightに有意な関連がみられ、左の下角横径は省略とLeftに有意な関連がみられた。右の側頭葉内側径は歪みと置き違いの項目に、左の側頭葉内側径は回転について有意な関連が認められた。また側頭葉外側横径は、値が小さくなるほど省略、歪み、Left、Rightに関連が認められ、正確数が低下し、誤数が増える傾向がみられた。MRIの視察判定の結果と側頭葉の萎縮を示す指数との比較は、シリビウス裂の拡大、側脳室の拡大が相関を示した。 ライフスタイルとの相関をみると、喫煙者でCMIとMWTVが有意な相関を示し、飲酒者とCMIとMWTVが有意な相関を示し、酒量が1合以上のものにおいてCMIとMWTVが有意な相関を示した。一方、服薬者のうち、糖尿病の治療薬を飲んでいるものはFHIと有意な相関を示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 笠原洋勇: "精神症状を伴った痴呆の鑑別診断" 老年精神医学雑誌. 12巻. 1296-1301 (1997)
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[Publications] 笠原洋勇: "老人の知能障害(痴呆)" 臨床精神医学雑誌. 増刊号. 206-214 (1997)
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[Publications] Hiroo Kasahara: "Alcohol dementia and alcohol delirium in aged alcoholics." Psychiatry and Clinical Neuroscience. 50巻2号. 115-123 (1996)
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[Publications] Hiroo Kasahara: "A case of hypothyroidism with schizophrenia-like disorder:study of case reports in Japan." Jikeikai Medical Journal. 43巻3号. 221-232 (1996)
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[Publications] 笠原洋勇: "健常老人脳の10年間画像追跡中に発症した痴呆に関する研究-痴呆の臨床の指標について-" 社会精神医学研究所紀要. 25巻1号. 9-16 (1996)
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[Publications] Hiroo Kasahara: "A clinical study on premorbid personality and personality change in patients with age associated dementia." The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology. 48巻4号. 779-787 (1994)
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[Publications] Hiroo Kasahara: "Neuroimaging and the psychiatry of late life" Cambridge University Press, 236 (1997)
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[Publications] 笠原洋勇: "臨床精神医学講座第10巻" 中山書店, 520 (1997)