1997 Fiscal Year Annual Research Report
記憶・認知に基づく不安の生物学的発現機序に関する電気生理学的・行動薬理学的研究
Project/Area Number |
09671012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
笠茂 公弘 日本大学, 医学部, 助手 (90204370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 卓也 日本大学, 医学部, 教授 (40014203)
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Keywords | 不安 / 海馬 / 錐体細胞 / 興奮性アミノ酸 / アセチルコリン / 微小イオン注入法 / 電気生理 |
Research Abstract |
5管の多管ガラス電極を古典的方法によって作成した。中心の管を錐体細胞の発火活動の記録用とし、4つの側管にはNMDA,AMPA,kainate,quisqualateおよびacetylcholine(Ach)の水溶液のうちの4つを満たした。微小電気泳動法により、urethane(1.25g/kg,IP)麻酔下のラットの海馬CA1領域の錐体細胞近傍にNMDA,AMPA,kainate,Ach各々を局所適用した。全実験を通じ適用時間を常に40秒間とした。抗不安薬全身投与前に、誘発される活動電位の出現頻度を8-12Hzとなる様に、注入電流を調整し、個々の錐体細胞について各々薬物の40秒間の適用によって誘発された発火活動の数をbaselineとした。以降は、微小イオン注入装置の注入電流を固定し、抗不安薬がNMDA,AMPA,kainateおよびAchの発火誘発作用に活動に対する影響を検討した。 尾静脈から抗不安薬を急性投与した。alprazolam0.01,0.03,0.1,0.3mg/kg(累積用量)によってkainateの発火誘発作用は用量依存的に抑制されたが,NMDA,AMPAおよびAchの発火誘発作用は影響されなかった。また、quisqualateの発火抑制作用もほとんど影響されなかった(N=7〜10)。各投与量のalprazolam(0.01,0.03,0.1,0.3mg/kg)それぞれはkainateの発火誘発作用をbaselineの65,43,25,14%に減少させた。 以上の結果から、alprazolamはkainate型受容体刺激を介した発火誘発作用を抑制することが示された。したがって、海馬がその発現に重要な役割を果たすと考えられる、記憶・認知に基づく不安がkainate型受容体刺激を介する可能性が示唆された。今後、多のbenzodiazepine(BZD)系抗不安薬および最近抗不安作用を持つことが明らかにされたセロトニン1A受容体作動薬についても同様の検討を行い、更に検証してゆく予定である。
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