1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞の分化および機能の局所的調節機構と老人性骨粗鬆症におけるその異常の解明-骨における細胞・基質間相互作用の役割の解明-
Project/Area Number |
09671031
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Research Institution | University of TOkyo |
Principal Investigator |
竹内 靖博 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (50202164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 誠二 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30202287)
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Keywords | コラーゲン / 骨芽細胞 / インテグリン / BMP / MAPキナーゼ / 骨粗鬆症 / Smad / 加齢 |
Research Abstract |
1. 基質の接着による骨芽細胞の分化形質の発現機序の解明 これまでに、α2β1インテグリンを介する基質I型コラーゲンへの細胞の接着が、focal adhesion kinase(FAK)とその下流のシグナルの活性化であるRas-MAPキテーゼなどをを介して骨芽細胞分化に関与することを明らかにし報告している。骨形成誘導因子(BMP-2)はその細胞内シグナルであるSmadlによる標的遺伝子の転写活性化を介して骨芽細胞の分化に不可欠の役割を果たす成長因子である。BMP-1型受容体のdominant negative formを過剰発現する細胞を作成して行った本年度の研究から、骨芽細胞が分泌するBMPは、細胞外基質に蓄積されることによりオートクリン作用を発揮してその分化を促進することが見出され、骨芽細胞の分化における基質の重要性がこれまでとは別の観点で明らかとなった。さらに、インテグリンの下流にある細胞内シグナルの内、特にRas-MAPキナーゼの経路がSmadlの転写活性を強く促進することを明らかにした。これは、BMP作用の発現には細胞内シグナルのレベルにおけるSmadlとFAK-Ras一MAPキナーゼとの相互作用が重要であることを示す新たな知見である。 2. 加齢による骨基質コラーゲンの変化が骨芽細胞の分化に及ぼす影響の解明 加齢により糖化の修飾を受けたAGE化コラーゲンが増加することが知られている。本年度の研究では、AGE化コラーゲンを用いたin vitroの実験から、そのインテグリンを介する骨芽細胞内への様々なシグナルの伝達が、正常コラーゲンに比べて著しく低下していることが明らかとなった。これは加齢による骨芽細胞の分化、形成の障害の機序にコラーゲンのAGE化が関わる可能性を示す成績であり、老人性骨粗鬆症の発症機序を解明する上で重要な知見である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kodama,Y.et al.: "Reduced expression of interleukin-II in bone marrow stromal cells of senescence-accelerated mice(SAMP6)" J.Bone Miner.Res.13(9). 1370-1377 (1998)
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[Publications] Okazaki,R.et al.: "A novel activating mutation in calcium-sensing receptor gene associated with a family of autosomal dominant hypocalcemia" J Clin Endocrinol Metab. 84(1). 363-366 (1999)
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[Publications] Hoshi,K.et al.: "The primary calcification in bones follows removal of decorin and fusion of collagen fibrils." J Bone Miner Res. 14(2). 273-280 (1999)
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[Publications] Suzawa,M.et al.: "Extracellular matrix-associated bone morphogenetic proteins are essential for differentiation of murine osteoblastic cells in vitro." Endocrinology. (in press). (1999)
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[Publications] Chikatsu,N.et al.: "A novel homogenous inactivating mutation of calcium-sensing receptor in a patient with adult primary hyperparathyroidism." Clin Endocrinol. (in press). (1999)