1997 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌細胞の増殖と機能の調節におけるJAK-STAT経路の意義の解明
Project/Area Number |
09671032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 信夫 東京大学, 医学部附属病院分院, 助手 (00206632)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン分泌細胞 / サイトカイン / 成長ホルモン / JAK-STAT経路 / チロシンリン酸化 / DNA結合蛋白 / NO |
Research Abstract |
インスリン分泌細胞の増殖と機能の調節に関与する細胞内情報伝達機序としてのJAK-STAT経路の意義を解明することを目的とし、培養ラットインスリノーマ細胞株INS-1を用いて、1)成長ホルモン(GH)・プロラクチン(PRL)によるSTATの活性化、2)インターフェロンγ(IFN-γ)の作用とJAK-STAT経路の関与を検討した。既にGH・PRLがINS-1細胞の増殖およびインスリン合成を刺激すること、さらにJAK2を活性化することを我々は報告している。今回の検討では、両ホルモンがSTAT5のチロシンリン酸化およびそのDNA結合能を促進することが、それぞれイミュノブロッティングおよびゲルシフトアッセイによって確認された(Endocrine J,in press)。また、GHは他の細胞系ではMAPキナーゼを活性化するもののINS-1細胞ではそれが見られないが、この理由として、GHがEGF受容体のリン酸化を介してMAPキナーゼを活性化するが、INS-1細胞ではEGF受容体の発現がきわめてわずかであるためにそれが生じないことが新たな知見として得られた(Nature 390:91,1997)。 次にINS-1細胞におけるIFN-γの作用を検討したところ、IFN-γ単独ではその増殖に影響しないものの、ブドウ糖によるインスリン分泌刺激を有意に抑制した。同時にIFN-γにより細胞内代謝が阻害されることがMTTアッセイによる検討で示され、このことがインスリン分泌阻害の機序として示唆された。さらにIFN-γは腫瘍懐死因子(TNF-α)と同時に作用させると、INS-1細胞において著明な細胞毒性を示し、これがNO合成酵素(iNOS)mRNAの誘導と平行して見られることから、両サイトカインが相乗的にNOの産生促進を介して細胞障害に働くことが示唆された。このiNOS誘導のメカニズムとして両サイトカインによるDNA結合蛋白の活性化をゲルシフトアッセイで検討したところ、IFN-γはSTAT1活性化を介して直接に、あるいはさらにそれがIRF-1を活性化することによって間接的にiNOSの誘導に働くこと、またTNF-αによるNF-кBの活性化をIFN-γがさらに増強することによってiNOSの誘導に作用しうることが新たな知見として得られた(以上投稿中)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamauchi T et al.: "Tyrosine phosphorylation of the EGF recuptor by the kinese Jak2 is induced by growth hormone." Nature. 390. 91-96 (1997)
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[Publications] Sekine N et al.: "GH signalling in pancreatic・β・cells." Endocrine Journal. (in press). (1998)
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[Publications] 関根信夫: "インスリン分泌不全" 医学のあゆみ 内分泌代謝疾患 state of ares. 98-100 (1997)