1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 幸路 東京大学, 医学部附属病院分院, 助手 (20236243)
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Keywords | アドレノメデュリン / PAMP / ACTH / 神経機能 / 高血圧 |
Research Abstract |
下垂体細胞に対する作用。アドレノメデュリン(AM)がヒトACTH産生下垂体腺腫細胞からのACTH分泌に対し、低濃度で抑制、高濃度で促進の作用を有することを初めて明らかにした。促進の作用機序について電気生理学的手法を用いて検討したところ、AMが非選択性陽イオン電流を活性化し、膜を脱分極させることで細胞内へのCa^<2+>流入を促進する事によることを明らかにした。このことによりFura2で測定した細胞内Ca^<2+>濃度は細胞外Ca^<2+>依存性に増加した。このことによりACTH分泌の促進が生じているものと考えられる。またこの作用にはPKAの活性化が関与していることを明かにし、内分泌学会で発表した。現在投稿準備中である。PAMPについてはいくつかの下垂体細胞系で検討中である。 中枢神経細胞に対する作用。AMは青斑核由来神経細胞株において膜を脱分極させ、活動電位の発火頻度を増加させた。この神経細胞株はノルアドレナリン作動性であり、AMによる細胞の興奮現象はノルアドレナリン分泌の増加につながると考えられる。この興奮性の増加の機序を検討したところ、AMはこの細胞の非選択性陽イオン電流を活性化する事が明かとなった。この作用にも、cAMP増加とPKA活性化が関与していることが明かとなった。この現象の生理的意義については次のような考察を行っている。AMを中枢投与すると、末梢投与の場合とは対照的に昇圧反応が生じる。この際に脳脊髄液中のノルアドレナリンの濃度が増加していることが示されている。AMによるノルアドレナリン作動性神経細胞の活動性に対する刺激は、AMの中枢投与による昇圧反応の機序の解明や、中枢作用の解析に役立つものと考えられる。この結果についても現在投稿準備中である。
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