1997 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性の成因におけるMAPキナーゼ経路に関する研究
Project/Area Number |
09671047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉政 康直 京都大学, 医学研究科, 講師 (00252437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 公則 京都大学, 人間環境学研究科, 助手 (40271598)
西村 治男 京都大学, 保健診療所, 助手 (40281729)
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Keywords | インスリン / MAPキナーゼ / 糖輸送担体 |
Research Abstract |
要約 [目的]インスリンシグナル伝達経路のひとつであるMAPキナーゼ(MAPK)経路の糖輸送における関与を3T3-L1脂肪細胞を用いて検討する。 [方法]脂肪細胞においてMAPKKを恒常的に活性化するため、constitutively active MAPKKを3T3-L1を前脂肪細胞に導入し、効率よく脂肪細胞に分化する細胞(L219)を樹立した。L219細胞を用いて脂肪細胞の分化後、MAPKの恒常的活性化、、糖輸送、糖輸送担体(GLUT1,GLUT4)の蛋白/mRNAの発現を検討した。 [結果]分化したL219細胞においてMAPKの恒常的活性化が認められ、3T3-L1脂肪細胞に比べてインスリン非刺激下において糖輸送は亢進していた。L219細胞においてのみGLUT1蛋白/mRNAの発現が亢進していたが、GLUT4蛋白/mRNAの発現は3T3-L1脂肪細胞と変化はなかった。従って、MAPKの恒常的活性化は、GLUT1蛋白/mRNAの発現亢進を介して糖輸送を促進することが示された。 [結論]MAPキナーゼは脂肪細胞においてGLUT1遺伝子発現の亢進を介して糖輸送に関与していることが示された。また、この知見は、細胞増殖と糖輸送の関連性を示唆しており、糖尿病性合併症の成因を考える点において興味深い。
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