1997 Fiscal Year Annual Research Report
腎アンジオテンシン系およびアドレノメデュリン系の臨床的意義に関する分子医学的研究
Project/Area Number |
09671049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向山 政志 京都大学, 医学研究科, 助手 (40270558)
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Keywords | アンジオテンシンII / AT1受容体 / AT2受容体 / アドレメデュリン / メサンギウム / 細胞増殖 / 高血圧 |
Research Abstract |
高血圧や腎疾患の発症・進展において組織レニン-アンジオテンシン系の異常や、新しい降圧利尿ホルモンであるアドレノメデュリン(AM)の意義が注目されている。今回、腎におけるアンジオテンシンII(AII)受容体およびAMの発現調節と機能的意義について、以下の知見を得た。 1.ラット腎臓におけるAII受容体遺伝子発現とその調節機序の検討 ラット腎臓ネフロンセグメントにおけるAT_1、AT_2受容体発現を検討し、若年の高血圧自然発症ラット(SHRSP)糸球体でのAT_2受容体発現が正常対照(WKY)に比し有意に減少していることを認め、高血圧発症への関与を示唆した。また、WKY由来培養腎メサンギウム細胞ではconfluen後の増殖抑制に伴ってAT_2受容体発現が著しく亢進するのに対し、増殖性の亢進したSHRSP由来細胞ではその発現が全く見られず、またこの調節にIRF-1誘導の有無が関与することを見出した(Hypertension)。 2.培養メサンギウムおよび内皮細胞におけるAM発現とその意義の検討 Amに対するモノクローナル抗体を調製し、それを用いて高感度RIAを確立して各種培養細胞におけるAM分泌を検討したところ、培養メサンギウム細胞から内皮細胞や血管平滑筋細胞に匹敵するAM分泌を認めた(Kidney Int.)。さらに内皮細胞では内因性のAMがautocrine抑制因子として細胞増殖調節に関与することを示した。また、SHRSP由来メサンギウム細胞においてWKYに比し有意のAM分泌の減少およびAM反応性の亢進を認め、増殖調節への関与を示唆した。 3.AT_2受容体およびAM受容体を介する細胞増殖抑制およびアポトーシス誘導のついての検討 培養腎メサンギウム細胞を用いて、AIIによるAT^1受容体を介した細胞増殖促進効果がAT_2受容体刺激で抑制されることを見出した。またその機序のひとつとして、MAPK(ERK-1,-2,p38)カスケードの抑制およびアポトーシスの亢進を認めた。さらに、AM刺激は強力なメサンギウム細胞増殖抑制を来たし、この機序にcAMP上昇およびMAPK抑制が関与することが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masahisa Goto: "Growth-dependent induction of angiotensin II type 2 receptor in rat mesan gial cells." Hypertension. 30(3). 358-362 (1997)
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[Publications] Hideo Michibata: "Autocrine/paracrine role of a adrenomedullin in cultured endothelial and mesangial cells." Kidney International. 53(4)(発表予定). (1998)
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[Publications] Kiyoshi Mori: "Kidney-specific expression of a novel mouse organic cation transporter-like protein." FEBS Letters. 417. 371-374 (1997)
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[Publications] Tsunekazu Matsumoto: "The prostaglandin E2 and F2α receptor genes are expressed in human myometrium and are down-regulated during pregnancy." Biochemical and Biophysical Research Communications. 238(3). 838-841 (1997)