1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体内電気穿孔法を用いた視床下部ペプチド遺伝子発現調節とその生理的効果
Project/Area Number |
09671063
|
Research Institution | Kagawa Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 誠 香川医科大学, 医学部, 助手 (10215840)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 二郎 香川医科大学, 医学部, 教授 (00033085)
|
Keywords | 生体内電気穿孔法 / 脳内電気穿孔法 / 視床下部 / バゾプレッシン / オキシトシン / 逆行性 / ラット / β-galactosidase |
Research Abstract |
【目的】今年度は,昨年度に引き続いて,生体内(脳内)電気穿孔法に関する基礎的な検討を実施した。 【方法】β-galactosidase発現ベクター(pCMVβ)をラットの側脳室内に投与し,視床下部に留置した双極電極からパルス電流を通電した。通電の条件は,昨年度の検討結果より,電圧は50〜100Vとし,両方向に計16回のパルス電流を通電した。実験終了後に,ラットの脳を灌流固定し,脳内に取り込まれたプラスミドの分布をX-Galを基質にした発色反応によって観察した。 【結果】X-Galの発色反応が認められたのは,脳室内脈絡叢,視床下部室傍核の大細胞領域,視束上核のみであった。電極の通電部位である先端部が挿入されている視床下部弓状核周辺にはプラスミドの取り込みは認められなかった。プラスミドを脳室内に挿入後,電流を通電しなかった場合には,脳内にプラスミドの取り込みは全くみられなかった。さらに,プラスミドを頸動脈に投与した場合にも,X-Gal染色性の脳内分布は変化がなかった。 【考察】予想に反し,プラスミドの取り込みは電極先端部の視床下部弓状核にはみられず,電極の位置から距離的に離れた視床下部室傍核や視束上核に観察された。これはおそらく,神経核自体の性質というよりも,これらの神経核に何かプラスミドを取り込む機構があるのではないかと考えている。この一つの可能性としては,脳室内に投与されたプラスミドが,脳室周囲器官に存在する種々のニューロンを介して,逆行性に室傍核や視束上核に移送される機構が考えられる。この作業仮説は,動脈内に投与されたプラスミドが脳室内投与の場合と全く同じような分布を示したという結果からも有力であると考えられる。現在,室傍核や視束上核のどのニューロンにプラスミドの取り込みが認められるのかについてバゾプレッシンやオキシトシン等の免疫染色を実施中である。ニューロンが特定されれば,神経ペプチドの発現調節ベクターを用いてその生理効果を観察する予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Ryoji Yokote: "Molecular cloning and gene expression of growth hormone-releasing peptide receptor in rat tissuse." Peptides. 19. 15-20 (1998)
-
[Publications] Tomoyo Ohyama: "Effects of adrenalectomy and glucocorticoid receptor antagonist,RU38486,on pituitary growth hormone-releasing hormone receptor gene expression in rats." Peptides. 19. 1063-1067 (1998)
-
[Publications] Hidemi Ohye: "FK506 stimulates GH secretion and GH primary transcripts due to inhibition of calcineurin and activation of PKA-dependent systems in cultured rat pituitary cells." Neuroimmunomodulation. 5. 30-317 (1998)
-
[Publications] Makoto Sato: "Identification of five novel germline mutations of MEN1 gene in japanese mulitiple endocrine neoplasia type 1(MEN1)families." J Med Genet. 35. 915-919 (1998)
-
[Publications] Makoto Sato: "Effect of growth hormone on growth failure and bone loss induced by suprapysiologic dose of glucocorticoid in rats." Endocrine J. (in press).
-
[Publications] Michio Niimi: "Effects of central and peripheral injection of leptin on food intake and on brain c-fos expression in the Otsuka Long-Evants Tokushima Fatty rat with hyperleptinemia." J Neuroendocrinol. (in press).
-
[Publications] 佐藤誠: "医学大事典,インスリン低血糖試験など11項目 印刷中" 医学書院,
-
[Publications] 高原二郎: "内科学教科書,下垂体-標的器官の機能テストと評価 印刷中" 黒川清・松澤祐次編集主幹,文光堂,