1997 Fiscal Year Annual Research Report
β_3アドレナリン受容体ノックアウト・ノックインマウスを用いた肥満の病態解析
Project/Area Number |
09671067
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 俊秀 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60079770)
|
Keywords | β_3アドレナリン受容体 / β_3アドレナリン受容体遺伝子変異 / 肥満 / 3T3-L1細胞 / BCMGSneoベクター / Tpr64Arg変異 / β_3アドレナリン受容体アゴニスト / CAMP |
Research Abstract |
β_3アドレナリン受容体は白色脂肪組織と褐色脂肪組織に主に存在し、痩せるための受容体と考えられる。しかし、ヒトにおける意義に関しては不明な点が多い。最近、ピマインディアンにてこのβ_3アドレナリン受容体のミスセンス変異(Trp64Arg)が発見され、肥満や糖尿病早期発症と関係するとされた。我々も、日本人で検討し、この変異が3人に1人の高頻度に存在すること、糖尿病早期発症、インスリン抵抗性、内臓脂肪蓄積、減量困難性と関連する事を見い出した。現在、先進諸国では生活習慣病対策が急務とされており、その中でも肥満対策は最重要課題である。しかし、肥満の原因としては環境因子もさることながら、遺伝素因も重要と考えられるが、現実には未解決の部分が多い。そこで我々は、β_3受容体遺伝子変異と肥満の関係を一つの突破口として、遺伝子変異が肥満及びその合併症を引き起こすメカニズムを解明することを目的に今年度は以下の研究を行った。すなわち、変異β_3受容体と正常β_3受容体を前駆脂肪細胞3T3-L1細胞に発現させ、脂肪細胞で変異β_3受容体の機能を検討した。ヒトβ_3受容体cDNAをヒト神経芽細胞腫SK-N-MC細胞よりクローニングし、BCMGSneoベクターに組み込んだ。Trp64Arg変異β_3受容体cDNAはギャップDNA法によって作成し、塩基配列を確認し、BCMGSneoベクターに組み入れた。両ベクターをリポフェクション法で3T3-L1細胞に導入し、受容体を発現する細胞株を樹立した。両細胞はRT-PCR法でほぼ同程度のβ_3受容体mRNAを発現しており、Trp64Arg変異は制限酵素の切断パターンから確認された。これらの細胞をβ_3アゴニストで刺激したところ、正常β_3に比べ、変異β_3受容体ではcAMP産生が抑制されていた。以上の結果は、β_3受容体のTrp64Arg変異をもつ脂肪細胞ではβ_3受容体を介する脂肪分解、熱産生が正常β_3受容体を発現する細胞に比べ抑制されていることを示す。来年度はこの点をより詳細に解明して行きたい。
|
-
[Publications] Sakane Naoki: "Effects of Trp64Arg mutation in the β_3-adrenergic receptor gene on weight loss,body fat distribution,glycemic control and insulin resistance in obese type 2 diabetic patients" Diabetes Care. 20. 1887-1890 (1997)
-
[Publications] Yoshida Toshihide: "β_3-adrenergic agonist induces a functionally active uncoupling protein in fat and slow-twitch muscle fibers" Am.J.Physiol.274(in press). (1998)