1997 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の発癌リスク(非酵素的糖化によるEGFリセプターのユビキチン化障害)
Project/Area Number |
09671073
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大川 清 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90112812)
|
Keywords | 糖尿病 / 上皮増殖因子 / 上皮増殖因子リセプター / ユビキチン / グリケーション / 発癌 |
Research Abstract |
1.使用癌細胞(A431ヒト扁平上皮細胞癌)の高グルコース環境への馴化. A431細胞は通常10%牛胎仔血清(FBS)加RPMI1640培地で維持されるが本実験系はFBSに混在する小分子増殖因子を極力除去するため、使用FBSは全てRPMI1640で予め透析し、血清の影響も極少にすべく増殖を阻害しない最少血清濃度を決定し、A431はRPMI1640(2g/lグルコース)に4%FBS添加で培養した。一方、高グルコース培地はRPMI1640に20g/lグルコースを添加し、4%FBS存在下培養を開始し、A431細胞は5週後、10倍高糖環境下で維持可能となった。MTT並びに色素排除法て測定した細胞倍加時間はA431(33時間)に比較しA431HGは49時間と増殖の遅延がみられた。 2.EGF-receptor(R)、燐酸化EGF-R検出とEGF-Rユビキチン化の半定量法の確立. EGF 100ng/ml処理 A431,A431 HGをトライトンX、カリクリンA、バナジン酸ナトリウム存在下で可溶化し、cell lysateを作成した。EGF-R、燐酸化EGF-Rは(1)Cell lysateのSDS-PAGE・ウエスタンブロット(WB)による発現量、燐酸化量の変動の確認。(2)ヒツジ抗EGF-Rポリクロン抗体固相化プレートにcell lysateを添加、キャッチし、マルチユビキチン(MUB)鎖のみを認識する単クロン抗体をビオチン化した抗体をディテクターとすることによりEGF-R中MUB鎖量を半定量するsystemの実用の可能性をcheckした.Signalはビオチン化MUB単クロン抗体でも非標識抗MUB抗体、抗マウス標識抗体のsystemでも同等のsignalが得られ、この両systemとも細胞内ユビキチン化EGF-Rを検出定量できることが判明した。これらの方法論確立により次年度には高糖環境下細胞のEGF-Rのユビキチン化の程度が判明すると考えられる。またEGF-Rのglycationは通常のwhole cell lysateのSDS-PAGE・WBでは確認が困難であり、抗EGF-R抗体を用いた免疫沈降物のSDS-PAGE・WBに変更することで解決すると考える。本年度(平成9年)は研究費補助金交付決定が10月以降であったため、計画は大幅に遅延したが、使用細胞並びに研究方法の確立はすべて行ったので次年度には計画の遅れもとりもどせると考える。
|
-
[Publications] Asakura,T.: "Drug conjugate of doxorubicin with glutathione is a potent reverser of multi-drug resistance in rat hepatoma cells." Anti-cancer drugs. 8. 199-203 (1997)
-
[Publications] Takada,K.: "Serum concentrations of free ubiquitin and multiubiquitin chains." Clin.Chem.43. 1188-1195 (1997)