1998 Fiscal Year Annual Research Report
CD40を介したCD8陽性細胞のヒト甲状腺細胞障害機序の解析
Project/Area Number |
09671081
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
伊藤 光泰 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (20144066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 顕雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90111012)
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Keywords | 甲状腺 / パセドウ病 / CD8 / CD40 / インターロイキン / IL-4 / IL-10 / IL-12 |
Research Abstract |
昨年度の研究では、抗CD40抗体とIL-4の刺激によるβ細胞活性化によりバセドウ病では可溶性CD23とCD23陽性細胞が増加し、橋本病や健常者に比べてCD8陽性細胞がより強く減少したが、可溶性CD8の増加は明らかではないことを報告した。今回、このB細胞活性化によるTh1/Th2への影響をみるためIL-10およびIL-12の分泌を調べた。バセドウ病では、CD40を介したB細胞活性化により、健常者および橋本病、さらに抗GAD抗体陽性の1型糖尿病に比べて、明らかなIL-10の増加反応を認めた。バセドウ病末梢血ではIL-12の基礎分泌が低値の群と高値の群があり、低値の群ではCD40を介したB細胞活性化によるIL-10とIL-12分泌に正の相関関係が認められたのに対して、高値群ではこのような関係がみられなかった。IL-10の基礎分泌は甲状腺内リンパ球の方が末梢血より高い例が多いが、末梢血の方が高い例があり、これらの例では抗TSHレセプター抗体、IL-4に対するIL-10およびIL-12の反応が高い傾向を認めた。マグネットビーズを用いてCD8陽性細胞を分離し、CD8欠乏細胞群を作成し、CD40を介したB細胞活性化により刺激すると、IL-10の分泌は逆に抑制されたことから、CD8陽性細胞の存在はCD40を介したB細胞活性化の際のIL-10分泌を増強していると考えられる。IL-4とCD40を介したB細胞活性化はIL-10の分泌を促すTh2への偏りを促進するが、一方IL-12分泌細胞も刺激してTh1との平衡を保とうとする機序が働くと考えられる。しかしながら、バセドウ病では橋本病や1型糖尿病とは異なり、よりTh2への偏りが強く働いていると推定される。さらにこのようなIL-10およびIL-12のネットワークの乱れはCD8陽性細胞の増減と関連しており、バセドウ病でみられるCD8陽性細胞の変動と関係していると考えられ、その機序について更に検討中である。
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Research Products
(1 results)