Research Abstract |
【目的】マクロファージ由来の(1)interleukin(IL)-1β,(2)tumor necrosis factor(TNF)-αや,T細胞から分泌される(3)interferon(INF)-γは,動脈硬化症の発症・進展に関係の深いサイトカイン(C)と考えられ,これらが,血管壁平滑筋(SM)細胞のアポトーシス(A)の誘導を通じて,動脈硬化病変の進行,退縮に関与している可能性が示唆されている.糖尿病患者の動脈硬化症は,健常者に比較しより早期から高頻度に発症し進展も著しく,この原因として,血管壁構成細胞のAとの関連が考えられる.そこで,我々は,これらのCと高血糖が血管壁SM細胞のA誘導に及ぼすを効果を検討ずるために以下の実験を行った.【方法】家兎大動脈SM細胞をG5.5mM DMEM(A)と,G55mM(B)の2群で,(1)100U/mL,(2)400U/mL,(3)400U/mLを各単独,あるいは併用して添加,72時間培養,その後TUNEL法等でAの検出と定量化を行った.【結果】1)Cの効果;TUNEL法陽性率は,(A),(B)両群間に有意差を認めず,2)Cの効果;(A)に(1),(2),(3)を各単独で添加してもTUNEL法陽性率は,有意に変せず.(1)+(2),(2)+(3),(1)+(3),(1)+(2)+(3)併用では,有意に増加したが,(B)でも同様結果.【考察】Aが動脈硬化病変の退縮に貢献しているとすれば,高血糖状態で進行した動脈硬化病変をCによるAの誘導によって十分退縮させることができず,糖尿病患者の動脈硬化が激しいことの原因になっているかも知れない.
|