1997 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン依存型糖尿病患者MHC抗原よりの膵ラ氏島由来抗原ペプチドの同定
Project/Area Number |
09671086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
中西 幸二 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (80211423)
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Keywords | インスリン依存型糖尿病 / MHC抗原 / 抗原ペプチド |
Research Abstract |
インスリン依存型糖尿病(IDDM)はMHC抗原が関与する自己免疫疾患である。MHC抗原は抗原ペプチドをT細胞に提示するが、この抗原ペプチドのモチーフはそのMHC抗原特異的である。本研究の目的はIDDM感受性のMHC抗原がどのような膵ラ氏島由来の抗原ペプチドを提示するのかを明らかにすることである。 IDDM患者の末梢血よりのB細胞株をローラーボトルを用いて大量培養を行い、一方は培養液のみ、もう一方には胎児膵ラ氏島細胞株の破砕物を加えた。両者をNP-40を含むlysis bufferにて処理し、affinity chromatographyにかけ、HLA-DR分子、HLA-DQ分子を得た。次に、得られたHLA-DR分子、HLA-DQ分子をtrifluoroacetic acidで処理し、限外濾過によりペプチドを分離した。さらに、これを逆相HPLCにかけ分離した。 HLA-DR分子は培養液のみの培養系からは59.4μg、胎児膵ラ氏島細胞株の破砕物でパルスした培養系からは990.2μg回収可能であった。一方、HLA-DQ分子については、前者の培養系からは47.1μg、後者の培養系よりは133.2μg回収可能であった。両分子より分離された抗原ペプチドはHPLCによりピークとして分取された。培養液のみの培養系と胎児膵ラ氏島細胞株の破砕物でパルスした培養系のHPLCの溶出パターンを比較するとHLA-DQ分子ではそのパターンに変化はなかったが、HLA-DR分子で胎児膵ラ氏島細胞株の破砕物のパルスにより特異的に現れた3つのピークが得られた。このピークに含まれるペプチドをエドマン分解法にてシークエンシングしたところ、一つのピークよりアミノ酸14個よりなるペプチドが検出できた。サイズの上からもこれはHLA-DR抗原によって提示されていたペプチドと考えられ、今後その由来の確認および元の蛋白がIDDM患者末梢血リンパ球に増殖反応を起こすかどうかについて検討する予定である。
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