1997 Fiscal Year Annual Research Report
高比重リポ蛋白受容体遺伝子の構造と発現調節機構の解析
Project/Area Number |
09671087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
松本 明世 国立健康・栄養研究所, 臨床栄養部, 室長 (90192343)
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Keywords | HDL / 抗動脈硬化 / コレステロール逆転送系 / HDL受容体 / HB2 |
Research Abstract |
高比重リポ蛋白(HDL)の抗動脈硬化作用が知られており,そのメカニズムは,抹消細胞からコレステロールを引き抜くコレステロール逆転送によると考えられている.HDL受容体はコレステロール逆転送系に重要な役割を持つと考えられているが,その構造と機能,発現調節の詳細は未だ明らかではない. 本研究では,我々がクローニングに成功したHB2(HDL binding protein 2)の発現調節を調べるために,ヒト単球由来THP-1 cellを用いて,各種サイトカイン等の影響を検討した.InsulinおよびIGF-1ではHB2の発現に変化はみられなかったが,TNF-α,IL-6,MCSFの4日間処理では,THP-1でのHB2の発現は顕著に低下した.胆汁酸はLDL受容体などの発現に影響がみられることから,HB2発現に対するtaurocholate(TCA),chenodeoxycholate(CDCA)およびursodeoxycholate(UDCA)の影響を検討した.各胆汁酸0.5mM,6時間処理により,TCAでは1.3倍,CDCAでは2倍の有意な増加がみられた.一方,HMG-CoA還元酵素阻害剤simvastatinは肝のHB2活性を抑制することが報告されており、家兎にHMG-CoA還元酵素阻害剤simvastatinを15mg/kg/dayと生理食塩水(対照群)の3週間投与では,投与群で肝臓と肺中のコレステロールに減少が認められ,HB2mRNA量は,対照群に比べ肝臓と肺において有意に減少し,転写レベルでの抑制が示唆された. 以上,HB2の発現は,IL-6,TNF-α,MCSF等のサイトカインで減少し,TCAやCDCAのような胆汁酸で増加した.また,家兎に対するsimvastatin投与では肝臓と肺でのHB2発現が減少したことから,コレステロール代謝とHB2の機能の関連が示唆された.
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[Publications] Matsumoto A et al: "Cloning and characterization of HB2,a candidate high density lipoprotein receptor. Sequence homology with members of the immunoglobulin superfamily of membrane proteins." J Biol Chem. 272(27). 16778-16782 (1997)
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[Publications] 松本明世,板倉弘重: "新しいHDL受容体とコレステロール除去機構." 血管と内皮. 7(6). 562-568 (1997)