1997 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウィルスベクターを用いた新しい造血幹細胞体外増幅法の開発
Project/Area Number |
09671091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 滋 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60212049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宗春 東京大学, 医学部附属病院, 医員
小川 誠司 東京大学, 医学部附属病院, 助手
本田 浩章 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40245064)
三谷 絹子 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50251244)
平井 久丸 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90181130)
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Keywords | 上皮細胞増殖因子(EGF) / EGF受容体、組み換えアデノウイルス / CD34陽性細胞 / 血液前駆細胞の体外増幅 / インターロイキン6(IL-6) / SCF / LTC-IC |
Research Abstract |
上皮細胞増殖因子(EGF)受容体を発現する組み換えアデノウイルスを用いて、CD34陽性ヒト白血病細胞株にEGF受容体(EGFR)を発現させ、EGFシグナルの効果を検討したところ、EGF依存性の増殖が認められた。この際、分化段階への影響を検討する目的で表面マーカーをフローサイトメーターで調べたところ、ほとんど変化はみられなかった。 そこで、実際に末梢血から単離したCD34陽性細胞にアデノウィルスを感染させてEGFRを発現させ、さらにEGFを加えて培養することにより未熟な血液前駆細胞が増幅させうるかどうかをコロニーアッセイ法を用いて検討した。CD34陽性細胞に対するアデノウイルスの感染効率は低かったが、インターロイキン6(IL-6)およびSCFを培養中に加えることにより感染効率の改善が得られた。この結果、5日間の液体培養期間中に、EGF存在下ではEGF非存在下に比べ、コロニー形成細胞が約5倍に増幅された。増幅されたコロニーの中では、特にBFU-Eの増幅が目立った。 本来の標的はさらに未熟なレベルの細胞であるため、LTC-ICを標的としてアデノウィルスの感染、およびEGFによる増幅に関して検討した。CD34陽性細胞にアデノウィルスを感染させEGFRを発現させた後、フローサイトメーターを用いてEGFR陽性細胞を純化した。純化した細胞を用いてLTC-ICアッセイを行うことにより、EGFR陽性細胞中にLTC-ICが存在することを確認した。すなわち、LTC-ICにアデノウィルスが感染しうることを証明した。さらに、EGFRを発現させたCD34陽性細胞をEGF存在下および非存在下で5日間培養し、LTC-ICアッセイを行った。その結果、EGFがLTC-ICを増幅させることがわかった。 この研究では、アデノウィルスを用いて未熟造血細胞を増幅させうることを示し、臨床応用に可能性を開いた。
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