1997 Fiscal Year Annual Research Report
Ph'陽性慢性骨髄性白血病における樹状細胞の起源とその応用に関する研究
Project/Area Number |
09671095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00211681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 裕子 国立国際医療センター研究所, 室長 (10137713)
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
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Keywords | 慢性骨髄性白血病(CML) / フィラデルフィア染色体(Ph) / 樹状細胞(DC) |
Research Abstract |
慢性骨髄性白血病(CML)は多能性造血幹細胞の異常に起因する骨髄増殖症候群であり、フィラデルフィア(Ph)染色体という細胞遺伝学的特徴を示す。通常T細胞を除く大部分の血球がPhクローンに占拠され正常造血は抑制されている。最近いくつかのグループから、CMLにおいてPhクローン特異的な自己のヘルパーまたは細胞障害性T細胞応答を誘導できることが報告された。今回われわれは、CML患者由来の樹状細胞(DC)をアジュバンドに用いてPhクローン特異的T細胞応答を惹起することを目的として研究を行った。 生体における最も強力な抗原提示細胞であるDCは骨髄のCD34^+細胞に由来する。CD34^+細胞を半固形培地中でSCF/GM-CSF/TNFα/IL4などのサイトカインと共に約2週間培養すると数十個のDCからなるコロニーが形成される。この時コロニーの元になるCD34^+細胞はDC前駆細胞と定義できる。CML患者と健常者の間でDC前駆細胞を比較定量した結果、CMLでは単位細胞当たりのDC前駆細胞数が有意に低下していた。また、DCコロニー形成途中の細胞集団を釣り上げて染色体分析した結果、CMLにおけるDCコロニー構成細胞から得られた核型は全てPh染色体陽性を示した。次に、磁気ビーズ標識したモノクローナル抗体を用いて未熟なDCを末梢血から純化し、GM-CSF/TNFα/IL4で短期培養後に同種混合リンパ球反応(アロMLR)を行った結果、末治療CMLでは健常者と比較して明らかにDCの機能低下が認められた。なお1例ではあるが、培養時にIFNαを添加することによってCML由来のDCが惹起するアロMLRの数値は健常者DCレベルまで引き上げられた(97年度米国血液学会で報告)。以上より、Phクローン特異的な腫瘍抗原の存在を仮定すると、CML由来のDCはそれをT細胞に提示するのに最も適した細胞と考えられる。しかしながら、CMLではDC前駆細胞数が相対的に減少しており、DCの抗原提示能力も低下していると考えられるので、T細胞応答を誘導するに当たってDCの量を増幅したり、機能を補修するための工夫が必要であろう。
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Research Products
(1 results)